アラン・パーカー1988年の渾身の作。
冒頭、3人組が運転する車が何者かに付け狙われます。なにやら恐ろしいです。
そして行方不明となった彼らの捜査にやってきた二人組のFBI。ジーン・ハックマン演じる南部出身のおじさん刑事ルパートと、ウィレム・デフォー演じる真面目で一本気なアランの仲の悪いコンビです。
ミシシッピーは田舎で排他的でそして恐るべき人種差別の地域です。これがFBIの捜査を阻みまして、若いアランは正義感に燃えます。南部出身のルパートはゆるゆると立ち回ります。この二人の対比が面白いし、ストーリー進行とともに彼らの印象はどんどん変わっていきます。
田舎町の差別は尋常じゃありません。尋常じゃありませんが大袈裟でもありません。捜査を阻むなんていうヌルいレベルでない状態になっていきます。
「ミシシッピー・バーニング」はいわゆるアメリカの名作系社会派サスペンス映画でして、世界の評価通り見事な出来映えです。
娯楽作品に盛り込む社会派テーマは下手をすれば軽薄さに陥ったりしますが、そのさじ加減も大変よろしいです。全然上っ面じゃないし、かと言って真面目すぎて退屈な映画でもないし、最後は娯楽性も高いし、しかも見終わってちゃんと余韻を残す深みも保ちます。アラン・パーカーすごいです。
細やかな台詞も個性的な役者の演技も憎らしいほどの優れた演出もどれもこれも一級品。良いハリウッド映画の代表的な作品の一つと思います。
観ていない人もタイトルぐらい知っているという有名作品でして、実は私もそうでした。「今更だけど気になってたから見てみよう」シリーズで観たわけですが、いやはや観てよかったですよ。
サウンドトラックもとても良いです。魂です。燃えてます。
エンディング曲”Walk On By Faith”がいつまでも脳裏に残り続けます。