一世を風靡した「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」の続編が94年に作られました。
アメリカからボートでフランスに渡り、チェコからポーランドから北欧まで、ヨーロッパを転々と旅するレニングラード・カウボーイズ。各地でのちょっとした行いや音楽を披露しながらのロードムービーです。
前作の楽しい旅とは打って変わり、不条理感に満ちています。タイトル通りモーゼが出てきたりして、巡礼の旅を淡々と粛々と行います。
行き過ぎたナンセンスは笑うところなのか呆れるところなのかまったく不明で、オフ・ビートのオフ部分が膨れあがり、淡々としすぎて不思議な時間感覚にすら襲われます。ずばりいうと退屈です。ファンとして温かい目で見るのが前提で、ふつうの人にはまずおすすめできません。
いったいぜんたい、この映画は何でしょう。まったく不思議です。
いろんな旅の中で目を引くシーンや面白いエピソード、かっこいいシークエンスに良い音楽は沢山あります。そういったパーツはかなりの出来映えで、特にいくつかの音楽シーンは素晴らしいです。選曲も流石です。エンドクレジットで再び流れるあのへんてこな曲とか、めっちゃ好み。
そういったパーツを繋げるの粛々とした不思議な巡礼の旅。モーゼなのかマネージャなのかよくわからないマッティ・ペロンパーの役ももはや狂気のレベル。
人気沸騰した後のレニングラードの面々も、まるで人生の厭な部分をすべて体験して悟りの境地に入っているかの如き態度です。
まあなんというか、実に不可思議な作品。
前作の楽しさを忘れ、シュールでアートな映画であると最初から挑んで観ればよいと思います。マニア向け。
“レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う” への1件の返信