別に観なくてもいいんですが観てみました。個人的事情ですが、このシリーズは思い出深い作品なのでして、最初の「ソウ」は人生の転機であるところのなんとか旅行の最終日に観に行ったんですねこれが。それから毎年、秋になると「1年経ったねえ」なんて言いながら劇場へ足を運び、「ソウ5」で呆れ果てるまで寅さん的に毎年恒例となっておりました。
ですので本作に期待する部分は皆無でありましたが、DVDも出たことだし一応決着をつけておかないと、ということで義務的に鑑賞。
劇場では3Dが売りでタイトルも「SAW 3D」なんてタイトルですが、そんなことはどうでもよくて、最後に相応しいというか力尽きたというかヤケクソというか、とんだドタバタ残虐行為博覧会でした。残虐行為に新鮮味はすでになく、動機も理屈も見せ場的にも映画的にも何の工夫もないただただ妙な装置と痛いシーンの出血大サービス。テーマパークのアトラクションのような大袈裟な装置から、「ゼルダの伝説」で採用されそうなゲーム感覚のゲームから、「底抜け脱線ゲーム」みたいなドタバタゲームから、シリーズファンへのサービスショットまで、盛り沢山で休む間もない1時間半です。
今作はお笑い要素が天こ盛りで、序盤の三角関係の3馬鹿や、叫んだら締まる仕掛けの「黙れっ」や、フックを付けて奥さんが「ガンバ」って応援するところなどなど、脱力系のギャグが詰め込まれます。
シリーズ中最も馬鹿馬鹿しいジグソウゲームの連続に、もはや力は抜け「なんじゃそら」とか「おいおい」とか「はいはい」とか、そんな言葉が自然に出てきます。
てなわけで本作は伏線と回収を楽しんだり、構成のトリックにはまったり、謎が謎を呼んだり、裏を欠かれたり、どんでん返しにカタルシスを感じたりといったそういう推理小説的楽しみは一切ありません。
ジェットコースター・ポップコーンムービーですので、わーわー言いながら残虐行為と仕掛けを楽しむ作品です。そういう意味では十分楽しめます。
もしこの映画が高評価を受けたり、興行的に大成功すればあわよくばまだまだ続けてもOKっていうそんな作りですが、世間の評価はそんなに甘くないのではないでしょうか。
・・・・と思ったら、2000万ドルの製作費に対して7600万ドルの興行収入。結構成功してるじゃないの。みんなやっぱりこのシリーズが好きなのね。