「片腕ドラゴン」(1972)の続編です。ブルース・リーの大ブームがあって出てきた作品で、製作されたのは同時期ですが、日本で公開したのはブルース・リー映画がすでに公開され、ブーム真っ盛りだったころなのは確かでしょう。本気度万点の熱血ブルース・リー少年としては公開後の遅れたタイミングで「片腕ドラゴン」を見て面白がる己を随分反省した記憶があります。「こんなのブルース・リーのパクリだ。断じて認めん。でもおもしろい・・・おれのばかばか馬鹿」と、そんな案配です。
で、その「片腕ドラゴン」の続編であるところの「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」ですが、こんなのは知りませんでした。
後で知りましたが、タランティーノがこの映画の話題を出し、「キル・ビル」でもオマージュを捧げたことが知れ渡って再評価され、こうしてDVD化されるまでに至りました。さすがマニアのタランティーノ。そういえば「女囚さそり」なんかもタランティーノがタイトルを挙げて再評価されたんですってね。「女囚さそり」のシリーズは昔、日曜の午後にテレビでやってたりして、その頃はすでにどういう面白がり方をして良いのか心得てましたから面白いのなんのって、随分夢中になって観たものです。でもこういうのってサブカル臭いっていうか、マニア目線なんだなあと改めて思うと複雑です。断じて私は映画マニアじゃありませんから。
この「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」は、塗装屋で麻原彰晃似の知り合いに強くおすすめされて観ました。「ビデオで持ってるから貸します。まあ多分世界最強の面白さですわ」というわけで、いつか借りようと思ってたらDVDが出てるってことを知ったのでさくっと拝見。
いやまあ何これ。
確かに世界最強かもしれぬ。
かなりの面白さ。期待以上の爆裂加減はB級映画の世界チャンピオン。
馬鹿馬鹿しい展開に世界一卑怯な主人公。なげやりな悪党に出鱈目な闘い。
そんでもって何あのやる気のない終わりかた。
何から何まですごいです。観ている最中ずっとのたうち回りました。
うーむ。伝説的作品というのも大袈裟でないです。
こんなの、公開当時に観ていなくて良かった。こんなの熱血本気少年が観て面白がれるわけありません。これこそ今だからこそです。
こんなのタランティーノやロドリゲスが逆立ちしても作れません。ていうか誰にも作れません。
ジミー・ウォング、あなた監督・脚本・製作・製作総指揮・主演て、ひとりで何やってんすか。
2009.06.30
というわけで世界最強の一本なので一応取り上げておきました。
おや?今となってはDVDもプレミア価格ですか。まあ、それもわかるようなわからないような・・・
2011.04