辛い過去を背負い破滅型の人生を歩むチンピラと、辛い現実を背負いながらも強くたくましく弱気を見せない女子高生の出会いと友情です。
公開後好評を博し、韓国映画の力をまたも見せつけられることになりました。
この映画を見ていると日本のテレビドラマや映画の影響を強く受けていることを感じます。影響を受け、吸収し、昇華し、そして放った感じです。この強さを前に、もしかしたら日本のテレビドラマの関係者やなんかはちょっと悔しい思いをしたのかもしれないなんて思います。しかし悔しがってももう遅い。怠けている間に、もうとっくに抜かされてます。
この映画、画面の構成や映像的な面ではまだまだ稚拙で、言わばテレビ的です。標準から望遠のレンズとアップやズームばかりの狭苦しい画面はまさに日本映画のような息苦しさを感じます。「日本映画の悪い部分やテレビ的な構図だなあ狭苦しくて、息苦しい・・」なんて不満に思いながら見ていてはっと気づいた。タイトルが「息もできない」であることを。つまりこの息苦しさ、これわざとやってたんですね。ひゃー。
強い女子高生と出会うきっかけは制服のネクタイに唾を吐きかけてしまったことからです。女子高生の怒り爆発です。この出会い、これにも意味があります。
単なる設定上の適当なシナリオじゃないんですね。
後に弟と揉めるシーンで「制服を破るぞ」と脅されるシーンがあります。この女子高生、いつも同じ服を着ています。外出時の制服も多分1着だけ所持しているのでしょう。外で強気に振る舞うときの大事なコスチュームです。これを汚されることによる怒りの理由がこうして後でわかる仕組みです。
主人公のチンピラの友人で取り立て屋社長のマンシクがとてつもなく良いキャラクターです。
いい人だし律儀だし、本当に主人公のことが好きだし、このキャラクターはかなりいいですね。面白いです。
お約束だらけの、どちらかというとややありきたりのこの作品の中で、女子高生役のキム・コッピと、友人マンシク役のチョン・マンシクのふたりによる特異なキャラクターの魅力が評価を高めていると思います。
エンディングに向けての演出が、映画的によい演出を施したシーンになっています。
ほとんどの部分がまあドラマ的なよくあるありきたりな展開や演出だったりするんですが、この最後の構成はよく練られていると思いました。キャラクターたちの笑顔と悲しみの対比による印象深いラストシークエンスです。マンシク社長の良さもここで最大限に(笑)
なんにせよ、力のこもった良い作品でした。