アウトブレイクとは、ある限定された領域の中で感染症にかかった人間、またはその他の生物の小集団を指す分類語らしいです。
冒頭、軍による焼き払いシーンからスタートします。酷いですね。アフリカの村は冒頭で焼き払い、アメリカの小さな町は大スター共演で何とか救うべく奔走するという映画です。
病原菌の元もアフリカの猿。エボラ出血熱とエイズを交ぜたような設定です。すべての悪はアフリカ発祥。はいはいエイズもエボラも何でも悪いのはアフリカでございますよ、よござんしたね。
つまらないお話は置いといて、この映画は超低知能パニック映画というわけでも愛国的アクション映画でもなく、若干の社会性やら真剣さやらもあって真面目に面白いです。蒼々たる顔ぶれの役者たちで固めた登場人物たちの立派な志と努力、軍事や政治の影もちらつかせながらドキドキハラハラの展開に娯楽の王様ハリウッドの実力を感じ取れるでしょう。
とは言え見終わって何が残るかと言えばやっぱり「病原菌はアフリカから。アメリカ人を見殺しにする権力者ゆるせん。アフリカ人ならともかく」みたいな設定に潜む意識がどうも引っ掛かっていけません。いい出来の映画なのに名作扱いもされないし語り継がれることもないこの作品、設定の基本部分にあるそういった思想をわりあい多くの人が感じ取ってるのかもしれませんね。
エンターテインメントと社会性のさじ加減はいろいろと難しかろうと思います。
結局のところ見ても見なくてもいいお手軽アクション映画という位置に落ち着いたようですが、それでも忘れ去られて無視されてるわけじゃない程度の質の高さも維持しており、なんか、書けば書くほど中途半端な印象が強調されてきてどうしたものやら。申し訳なし。
2009.05.19