無知と思い込みほど質(たち)の悪いものはありません。私、懺悔しますがクリント・イーストウッドさんのことを全く知りませんでした。いや、ダーティ・ハリーしか知りませんでした。いや、それすらテレビの洋画劇場で片手間に見たに過ぎず「埃臭くて汗臭いアメリカのナショナリストで興味の対象外」と思っていました。すいません。ほんとにすいません。反省しています。
そんなわけで「ミスティック・リバー」も初見です。
少年時代のトラウマものっていうのは正直あまり好ましく思っていません。映画の尺で描くと単純化されてしまうからです。人生にはいろんなものが詰まってますので、少年時代の伏線を大人になって回収するストーリーを2時間で表現すると伏線以外の人生が省略されてしまいます。かと言って広範囲に人生を描くと小説「虚人たち」みたいに変なことになってしまうのでそれも駄目です。
そうなるとコツは、少年時代の伏線が全てみたいな単純化した描き方をするのではなく、過去の一部として上手に紛れ込ますしかありません。
というわけで説明がくどくなりましたが、ちょっと危ういながら本作は上手にやっています。
三人の名役者の力も大きいですね。ティム・ロビンス、見てるだけでドキドキします。もちろんクリント・イーストウッド監督の力量にも敬意を表したいと思います。
第76回アカデミー賞で作品賞を始めとした6部門にノミネートされ、ショーン・ペンが主演男優賞を、ティム・ロビンスが助演男優賞をそれぞれ獲得したそうな。
2009.09.22
ランキングサイトですへの投票ボタンです