今更「カーズ」について何が書けよう。みなさま、よーくご存じです。
超個人的には、ピクサー映画をロードショーで見損なったはじめての作品でして。なんとなく内容がわかるので、別に観なくていいか、と。
とんでもございません。私が悪うございました。
内容が予想できようが何だろうが、大きな美しい投射映像で観るべきでした。ほんとにジョン・ラセターをはじめピクサーの人たちは、いったいどれほどの精力を映画製作に傾けているのであろうか。ピクサーアニメのレベルの高さは想像力を越えています。
今回の「カーズ」はノスタルジーをテーマの一つとして大きく捉えているようです。
国道沿いの小さな街、そこにアメリカ人のノスタルジーが凝縮しています。街や人、景色だけではありません。暮らしや価値観、思想の根っこの部分に至るまで「かつての良きアメリカ」に賛美を捧げています。現在のアメリカが失ってしまったものがあまりにも大きいと誰しもが感じているのでしょう。我々日本人が観てさえ懐かしく感じるほどの表現力で描ききってます。もちろんそれはアメリカの家来として価値観を同じくしているからで、失ったものと現在の姿の有り様が同種のものであるからですね。
「カーズ」が描くノスタルジーは単なる甘酸っぱい郷愁ではなく、かつての良きアメリカが持っていた価値観を再び思い出し、きっちり未来に繋げようではないか、と、こういう素晴らしいメッセージなわけですね。「カーズ」を観た子供たちは無意識にもこれを受け止め、心の奥の方に仕舞っておくことでしょう。この映画を気に入った子供たちが将来人間味あふれる優しい人間になってくれるよう期待しておきます。
2007.01.19 digitalboo