トライアングル

Triangle
トライアングル

次のページです。畏れずネタバレします。

この映画のストーリーはループです。繰り返します。船上で殺戮を繰り返します。これが本編の中心となります。船上でのループは、ただ一つのループじゃなくて、3回ほどのループが一回りになってるんですね、このへんが凝ってるところですね。トライアングルの由来かもしれません。三周一区切りのループという構造がメインのストーリーですが、さらにあるんですね。実は映画本編の三周ループはより大きなループの中の部品に過ぎないという強烈なオチを持ってきました。くらくら目眩がするほど絶望するわけですが、これが観るものを最初から不穏な気持ちにさせていた原因と一致します。
そしてこの大きい方のループが何なのかというと、船上でも説明があったとおり無間地獄のループなわけですね。死を欺いたために罰として永遠に地獄を回らされるのです。これこそが本作のキモ、個性的な部分です。このループから逃れる方法はあるのでしょうか。地獄の使者は回り続ける哀しい主人公に「いつまでも待ってるよ」なんて暢気なことばを投げかけます。

ここまでズバッとネタバレしていいものかと思いますが、船上のステージ上にあった楽器とか、最後のほうには楽団が同じ楽器を持ってますからね。ああいうのに注目するとかなり哀しい結論になってきます。またループをやり直してどこかの時点でなんとかしようともがく主人公ですが、答えはそうじゃないですよね、無間地獄の罰を許されるのは最も認めなくない部分を認めること以外にありません。悪く言えば今際の際の夢オチですが、夢というよりやはり地獄のループなわけで、かなり悲惨です。「インランド・エンパイア」なども引き合いに出してよさそうな案配です。レコードの針飛びなんていうシーンもあります。描こうとしていることは「インランド・エンパイア」に非常に似ていると思いました。考えれば考えるほど傑作の予感がしてきますね。

もしこの映画、あと僅かに天才的な作りが出来ていたら間違いなく傑作の部類に入ったでしょう。映画的に重要な細部の力が各種傑作群には残念ながら及ばぬ感じで、実に惜しいです。ただし、別の見方をすれば、この手の(と言っては失礼ですが)ややこしく奥が深い作風を、単純化して誰にも分かり易く示したという点が評価できるのかもしれません。この映画の脚本的な深みが気に入る若年層がたくさんいると思います。そういう若い人たちが今後を担ってゆきます。

名作の予感とそれに及ばなかった点ばかり書いてしまいましたが、別に名作である必要もないのでして、そう思うと普通の殺人鬼の本編なんか、何が良かったってもちろんメリッサ・ジョージの短パンと薄ランニング姿でありましょう。はち切れんばかりの魅力が詰まっておりまして、彼女の姿をただ追うだけでもまったく飽きが来ません。そういう視点でも十分楽しめます。

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