映画感想書き始めたばかりと思っていたらもう何年も経っていまして、よく飽きずに続くもんだと自分でも呆れますが長年書いてると結構な頻度で誤字脱字文法間違いそれから間違いや出鱈目表記をやらかしてます。
「0:34 レイジ34フン」というブリティッシュホラーがありまして、これ面白かったんですよね、つまらないメモみたいな感想文書いてまして、読み直すこともなかったんですが監督の名前を間違って書いていたことに気づきまして。なぜ気づいたかというと、「ホラー不足やなー、ホラーないんかいホラーは」とホラー探していて「そういや0:34おもろかったけど他の作品見てないな、当時はあれ一本しかなかったけど今ならあるかも」と探してみたけど見つからない、そして監督名を間違って書いていたことに気づいたんです。直しておきましたけど。
という事情で、あらためて「0:34」の監督作品を調べたら「トライアングル」と「サヴァイブ 殺戮の森」というのがありました。よし試しに「トライアングル」観てみようと、そして観ました。
ホラーだと思っていたらあまりホラーでもなくて、いややっぱりホラーでした。なんのこっちゃ。えーと、映画が始まってしばらくはホラーっぽくないんですよね、ちょっと心理系のスリラーかのような始まりです。そんでもって海で遭難して迷い込んだ大型船がファンタジーなんですね、それから唐突に襲いかかる殺人鬼というスリラーになってきます。いろいろあります。そして映画を全て見終えると、これは心理系SF系ミステリー系ファンタジーと同時に、やっぱりホラーなんですよね。いえ、複合的に多ジャンルを混ぜたコンプレックスじゃなくて、観るものを惑わし、真の姿を出し渋る系なんですよ。最後まで見たらちょっとばかし哀しくなってしまう話です。
ストーリーはこうです。シングルマザーがいます。冒頭は日常と不思議を僅かに描きます。そしてヨットで遊びに行きます。息子の件で悪い予感を観客にもたらします。この時点で「息子に何かがあったのでは」と誰もが思います。母も暗い顔です。
ヨットは海に出ます。そして不気味な嵐が来て遭難します。そしてファンタジックな船が来て助かります。ですが主人公の挙動が怪しいです。「ここに来たことがある気がする」とか言い出します。その直後殺人鬼が現れます。その直後SFみたいにもなります。
こんな感じで、あれよあれよですが、結論から言うとわりと面白いんです。良いテーマだと思うし、脚本もよく出来ていて好きです。哀しく不憫ですし、殺人テイストもいい感じですし、下手すりゃもうちょっと馬鹿馬鹿しい映画になるところを寸止めできています。
ただし絶賛というところまでいかないのが惜しいところです。もうちょっと何が何となればすごい傑作になったろうと思います。
どんでん返しものではないのですが、この映画はネタバレがあまり好ましくないタイプの映画です。謎を引っ張りますから、何をどう感想書いてもミステリーの謎解きをバラしてしまうしかなくなります。もどかしいですね。あ。でも配給が用意した資料はおろか、パッケージデザインでも堂々とうたってるのか。じゃあいいですね、バラしても。これはあれです。ループします。同じ時間を主人公がループするという、そういうSFじみた話です。ストーリーだけ見れば「タイムクライム」みたいな感じで、そうです、タイムパラドックス系SFみたいな部分もあります。じつは全然違うんですけど。
まずアイデアやストーリーには文句なしですね。演出も悪くないです。惜しいなと思ってしまったのは主人公以外の登場人物たちにあまり肉付けできていないことです。結果的には「肉付け」なんか要らないんですよ。それはわかってます。でももうちょっと細部の演技やセリフでお話にのめり込ませてほしかったな、と少し思いました。ストーリーを進めるための便利なセリフばかりを言わせるんですよ。実に惜しい点でした。
もうひとつは大型船の船内ですね、これのセットが安っぽいのも気になりました。船っぽくなくて普通の建物みたい。これも嘘くさいのはシナリオ的にOKなんですが。そういう部分を考慮に入れてもちょい惜しい。でもこれは金がかかる話だからしかたないですね。
というようなわずかな重箱の隅みたいなのを除けば良作です。
ミステリーとサイコ的なるものの合わせ技はこれまで傑作や凡作がいろいろありました。私個人が比較的最近観たのでは「隣人」「チャイルドコール」なんかが筆頭です。限られた予算でも丁寧な脚本と演技力に賭ければ素晴らしい作品が完成します。
「トライアングル」はサイコ的なミステリーとはちょっと違ってます。ここはネタバレになってしまうのですが、最終的にはホラーテイストにちゃんと帰結します。ここはこの映画の価値あるところです。誤解を招きそうですが「シックスセンス」を引き合いに出しても良さそうなほどです。
ただやはり、いろんな傑作映画を引き合いに出してしまうと本作の頼りなさも目立ってきてしまいます。引き合いに出す映画ほどの力は残念ながらありません。逆に言うと、いろんな傑作を引き合いに出してもいいほど出来が良いとも言えますね。ということはどっちかというと出来が良いと言っていいのでは、と。どっちなんだい、と。
あとひとつ気に入ったシーンは、多分この映画を観た人の多くも気に入るところの、死体だらけのシーンですね。そうです、死体だらけのシーンがあります。ただ死体だらけなのではなく、ループならではということです。とても重要なシーンでしたね。あそこは最高にいいシーンでした。あのシーンを見て連想する他の作品は人によってまちまちだろうと思いますが、私が連想したのはモンティパイソンの牛乳配達員でした。
この映画ならではの魅力というのは引き合いに出した映画たちとは根本的に違っています。気に入っている部分はまさにそこです。アイデアはいい感じですよ。何がいいかって、それはかなりネタバレですけど、いいですかね。書きますけど。ネタバレですので次のページってことにしておきましょうか。