スペイン映画なら何でも好きなのでロボットSFだって好きに違いないと観てみました「EVA」です。案の定面白かったんですよ。はい。嘘つきません。
ダニエル・ブリュールが科学者の役です。ちょっとあまり科学者って感じじゃない人なので違和感ありますが良しとします。
近未来なのに雪深い田舎町が舞台です。いいですね。こういうのいいです。その雪深い田舎に科学者アレックス(ダニエル・ブリュール)が帰ってきます。10年前に放ってしまったロボット研究の続きをやるため大学の上司(アンヌ・カノヴァス)に呼び戻されたのです。
故郷の田舎にはいろんな思い出というものがあります。ほっぽり出した研究ってのもそうだし、昔の恋人なんてのもいます。かつての恋人ラナ(マルタ・エトゥラ)は兄貴ダヴィッド(アルベルト・アンマン)と結婚しております。
はい、もうもちろん昔の色恋事なんかには何のわだかまりも残しておりません・・・か?
以前子供のロボットを作っていて、これに心を入れるってのが中断していた研究です。見た目だけならとっくにロボットが活躍しているという近未来です。雪深い田舎町なのに近未来ですでに凄い性能のロボットがいたりします。いい感じです。
で、子供のロボットに心を入れるに当たって、アレックスは実際の子供をモデルとして使用したいわけで、そこでロボットの心にふさわしい子供を物色します。
子供を物色するなど、今やれば確実に変態罪で逮捕ですね、で、いろいろ物色しておりますと、個性的で賢い良い子を見つけます。とっても可愛い女の子エヴァです。
ロボット作りに興味津々のエヴァを気に入るアレックスですが、なんとこのエヴァちゃん、兄貴と元恋人のお子様でした!そいつは話が早い。でも何故か親に反対されたりします。
と、そんな感じでですね、いろいろありますがアレックスとエヴァちゃんのロボット作りが始まりまして、いろいろインプット作業に勤しんだりします。
このへんのドラマも楽しいです。プログラムについて妙なツッコミは要りませんよ。
それと同時に、案の定、元恋人とですね、やっぱりですね、ほら、いろいろとね、不味いことになったりしてきたりして、兄貴との関係もちょっと怪しくなってきたり、ドメスティックな物語が平行して進みます。
アレックスの研究所というか家というか、そこに執事がやってきます。料理上手でとてもいいおじさん、この家政婦兼執事がたいへんいいキャラクターです。でもこの人ロボットなんです。この家政婦兼執事兼ロボットをルイス・オマールが演じていまして、この映画をとても味わい深いものに昇華させています。
可愛いエヴァちゃんを演じているのはクラウディア・ベガというちびっ子女優で、2013年には「Zipi y Zape y el club de la canica」っていう楽しそうな映画に出ているようですがよく知りません。
エヴァは賢くて小生意気なところもあったりして、大人げないアレックスと喧嘩したりしながらもちょうど良いバランスで上手く行っています。
ロボット作りに協力するエヴァの個性がこの映画の中心となります。ちょっと変わり者で賢くて、男の子みたいな面も持っています。この子の魅力がこの映画の魅力とほぼイコールとなっておりますね。
で、その後いろいろありまして、映画を全部見終わるとなかなかよく出来てて面白かったなーって、そんな感想を持ちます。グッと来る人もいるかもしれません。SF慣れしている偏屈な理屈人間はいろいろツッコミどころとか言いそうですがそんなのは放っておいていいです。
情緒的でドメスティック寄りで、単なる硬派のSFでも娯楽活劇系の子供だましでもなく、まあ、かといって大人向けってほど大人向けなわけでもなく、どっちかというとファンタジー系のSFなわけですが、「AI」みたいなぶっちぎりの名作でもなく、何かその中途半端さというか、身の丈具合が素晴らしいんです。というか、明確にこれはちびっ子映画です。ちびっ子SFですね。だからそういう目線で見る人なら楽しめると思います。
私はとても面白く観ました。好きな要素もふんだんにありました。
ダニエル・ブリュールの元恋人ラナを演じたマルタ・エトゥラは「プリズン211」のあの素敵な素敵な奥さんを演じた女優さんですか。
そして兄貴ダヴィッドを演じたアルベルト・アンマンも「プリズン211」のあの主人公の兄ちゃんです。プリズンのときとは随分印象が違う役です。で、この二人はまた夫婦の役なんですね。ふたりともわずか数年でちょっと老けたように見えますがそれは役柄的なものなんでしょう。役者ってのは何にでも化けますからね。
https://www.youtube.com/watch?v=0MdrAc-tCtM
ゴヤ賞 助演男優賞、新人監督賞、特殊効果賞、ガウディ賞作品賞、撮影賞、特殊/視覚効果賞受賞。