籠の中の乙女

子供たちを家の敷地内に閉じ込めて世間から隔離し、両親の操作で独裁的偽常識を植え付け育て上げている家族のドラマ。怖くてギリギリ、面白くて異常、文芸的興奮に満ちた野心作にして21世紀の怪作。こういうもの凄い作品に時々出会えるから映画はやめられない。

そして、私たちは愛に帰る

ドイツで暮らすトルコ系の年老いた父と子、その父が囲う娼婦、トルコで政治活動に身を投じ、国を追われドイツに不法入国してくるその娼婦の娘、一文無しのその娘を匿うドイツ人女学生とその保守的な母親。
ドイツとトルコの社会情勢に影響を受ける3組の親と子の絡み合う物語。愛と喪失、死と再生の旅路。ファティ・アキン監督2007年の名作。

テイク・シェルター

大災害による終末の恐怖に囚われた男の物語。悪夢は災害の予知なのか、精神疾患なのか。家族のためにシェルターを整備します。
完璧な脚本、見事な演技、圧倒的な完成度。大絶賛。こんなの知らなんだ。なんだこれは。

パパは、出張中!

ちょっとした政治批判の一言で収容所送りになった父親のことを「パパは出張中なのよ」と少年マリクに告げる母。
ちびっ子マリクが見つめる激動の数年間。両親と親族、暮らしと社会、世の中と戦後、思想と民族。恋と別れ。エミール・クストリッツァ85年の長編映画2作目。

少年と自転車

社会と人間を描かせたらこの人たちの右に出るものがいないという、ジャン=ピエールとリュックのダルデンヌ兄弟、この巨匠兄弟監督の2011年新作はやっぱり受賞の「少年と自転車」です。揺さぶられてください。

ポゼッション

美人妻アンナ(イザベル・アジャーニ)とその夫(サム・ニール)、変な愛人(ハインツ・ベネント)にその母親、ゲイ探偵に幼稚園の先生に怪しい連中、いろんな人が妄想と狂気に陥るホラーでスリラーでカルト的変な映画「ポゼッション」はポーランドのアンジェイ・ズラウスキー1981年の怪作。

ツリー・オブ・ライフ

テレンス・マリック監督が放つ久々の作品はノスタルジック父と子マクロミクロコスモス信仰道徳生と死家族人生鬱々きらきら映像叙事詩。第64回カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞。

サクリファイス

アンドレイ・タルコフスキーの遺作「サクリファイス」つまり犠牲です。世界の終わりと対峙する苦悩する男の物語。
どうしても見なければならないと思って、震災と同じ日の前日にこれに挑みました。

BIUTIFUL ビューティフル

移民や不法滞在者がひしめくバルセロナの一角で暮らす子持ち男ウスバル。仕事と家族。社会と人。父と子。苦悩と焦燥。絶望と当惑。継承と遺緒。

奇跡の海

ラース・フォン・トリアーの放つ「黄金の心三部作」、というより「女優虐め三部作」とも呼びたくなるピュアでか弱い女性をいたぶり尽くす三部作のその一本目がこれ。奇跡の海。

フィリップ、きみを愛してる

詐欺師で脱獄王スティーヴン・ラッセルの実話をもとに作られたジム・キャリーとユアン・マクレガーの愛と刑務所の日々。

アンチクライスト

2009年のカンヌで物議を醸したラース・フォン・トリアーの怪作。セックスの最中に子を亡くした夫婦のショックと自責と恐怖と罪そして悪魔。

麦の穂をゆらす風

アイルランド独立戦争後の英愛条約を巡っての内戦を背景に、関わる人々や対立する兄弟を描いたケン・ローチの傑作。
カンヌ、パルムドール受賞作品。

イン・マイ・スキン

監督、脚本、製作、主演と全てをこなしたマリナ・ドゥ・ヴァンがお届けする年頃女性の心の襞。どろどろのぐちょぐちょ。苦悩、欲望、緊張、孤独、不安、狂気・・・。求めるものは救済か破滅か自己同一性の確保か。「イン・マイ・スキン」は油断できない映画。

白いリボン

第一次世界大戦直前、北ドイツの小さな村で連続する不可解な事件と村の不穏を描くミヒャエル・ハネケ最新作にして大傑作。2009年第62回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞の「白いリボン」がようやく順次地方公開。