はっきり言って、ムーアのドキュメンタリー映画は現代人なら必見です。観ていない知りませんでは済まされません。
確かにその道に詳しい人にとっては物足りなかったり説明不足あるいは説明歪曲を感じることもあるでしょうが、たかだか2時間弱の映画で書物何冊分もの情報を詰め込めるわけがないのだからそれは当然です。しかしたかだか2時間弱の映画が何冊もの本よりも強烈に語りかけてくることもまた事実。マイケル・ムーアの才能はテレビバラエティで鍛えた構成力と取捨選択、それに短く強烈な一撃を繰り出す才能です。生半可な才能ではここまでまとめ上げることは難しいでしょう。
さて本作「キャピタリズム」を観ていて気付くのは、これまでのムーア氏の作品に出てきたテーマの続きやまとめやおさらいをさらりと含ませているシーンが多いことです。
さすがに資本主義などという風呂敷を広げすぎたテーマを語る為には尺が足りなさすぎるし、これまでの作品の個別テーマをパーツとして踏まえておかないと語るに語れないということなのでしょう。銃社会、医療問題、貧困、戦争、恐怖、アメリカの成り立ちなどなどです。
少なくとも、現代人必見ドキュメンタリー「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」「シッコ」を観た上でこの作品もご覧ください。
しかしまあ今作は前半からぶっ飛ばしますね。かなり泣かされました。会社に「農民保険」を賭けられていた夫を亡くした妻のインタビュー、あと極めつけ、母親を失った家族のインタビューとか、どうですかあのシーン。あの子たちの姿見ましたか。あんなの見させられて泣かないなんてのは鬼ですよ。うわーん。
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