フェルナンド・メイレレスの名をとどろかせ、この一作で巨匠の称号を得たこれが噂の「シティ・オブ・ゴッド」でございます。
これは迫力でした。スラムを舞台にしたストリートチルドレンたちの生々しくも血みどろの抗争。
世代を超え人々をまたぎ、一瞬も目が離せない凄まじい演出力で怒濤の展開を果たします。
小気味よいテンポと時代の鏡である音楽、壮絶なカメラ、多くの人間による饒舌とアドリブ、芸術レベルの構成、この作品は奇跡の大傑作と言い切っていいでしょう。予備知識なしにこの作品に出会ったときの興奮は忘れられません。
現地のスラム街で出演者を募集して数百人の素人を集め、長い訓練期間を経て撮影に挑んだのだとか。
このとき、予行演習代わりに短編映画「ゴールデン・ゲート」を作っており、これがベルリン国際映画祭で最優秀短編作品賞など多数の受賞を果たすという快挙も成し遂げております。
血みどろの抗争の中で、暴力が苦手でカメラ好きの少年が中心となり、物語の核を成します。というか狂言回し的な役割でもあります。この文化的芸術的素養を持つ彼の存在がこの作品をただの暴力映画ではない次元に引き上げている魅力のひとつです。
原作はパウロ・リンスの小説「シダージ・ジ・デウス(シティ・オブ・ゴッド)」で、ブラジルを震撼させた「神の街」の抗争事件を住民らの証言を元に描き上げた話題作です。パウロ・リンス自身もこの町の出身だそうです。
この一作で巨匠となったフェルナンド・メイレレスは1955年ブラジル、サンパウロ生まれの監督で、大学では建築を学んでいたそうです。無理矢理ですが、まさに建築を組み立てるような映画作りです。無理矢理すぎました。
この作品のあと「ナイロビの蜂」そして「ブラインドネス」を監督します。現在のところこの三本しか見当たりませんが、3本とも素晴らしい作品です。どれも原作つきの映像化で、それぞれの原作も優れたチョイス、挑戦的な映画化が特徴でしょうか。
2009.06.01
2002年のこの作品、もちろん今見てもたまらなく面白いです。この映画にインスパイアされた表現や技法が今やすっかり定着したのも見て取れるかもしれません。
スタイリッシュかつドロドロの生々しさかつ激しいドラマ性と饒舌、貧困暴力群像成長堕落に裏切り芸術性、私やあなたの大好物の要素が詰まりまくりんこ。
2011.01
監督クレジットのカティア・ルンドは共同監督です。「シティ・オブ・ゴッド」のテレビシリーズを監督しています。
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