父の遺産を受け継いだ3兄弟、どうやらすごい金持ちのようです。金持ちのボンボンがインド旅行、これを厭味なく物語るとはウェス・アンダーソンはやっぱりただ者じゃありません。
コミカル、ほのぼの、クール、そしてインテリジェンスにあふれるロードムービーです。オーソドックスな流れの中に都会的センスがきらりと光る洒落た仕上がり、これはかなりいい感じです。
DVDでは短編映画「ホテル・シュヴァリエ」というのが冒頭に付いてまして、これとセットで観ると本編の深みが増し、映画を観る心づもりも出来上がる仕組みです。
「ホテル・シュヴァリエ」は人を食ったような話ですが、その演出でまず気付くのは北欧映画テイスト。とぼけた間合いと妙なセリフ、あの恰好付けの男はどう見てもアキ・カウリスマキ映画のマッティ・ペロンパーを彷彿とさせます。
人を食ったような短編が終わるといよいよ本編「ダージリン急行」ですが、冒頭は急ぐビジネスマン、ビル・マーレイからです。
ビル・マーレイと言えばジム・ジャームッシュ「ブロークン・フラワーズ」なわけですが、なわけなくて、一般的には「ゴースト・バスターズ」の人ですね。
彼が汽車に乗ろうと走りますが結局間に合わず、代わりに走ってきて飛び乗るのがエイドリアン・ブロディ演じる三兄弟の次男ピーターです。
乗り込んだダージリン急行で落ち合う三兄弟、長男フランシスはオーウェン・ウィルソン、三男ジャックはジェイソン・シュワルツマンが演じます。
あ。三男ジャックは「ホテル・シュヴァリエ」の彼じゃありませんか。と、いうことでプロローグの短編も効いてきます。
三兄弟のインド旅行はまさに観光旅行。金持ちらしい振る舞いと、70年代テイストとしての「バックパッカーによるインドの旅」との乖離をさらりと描きます。あくまでも金持ち目線、インドにハマるヒッピーとは全然違います。こういう洒落っ気が都会的なんですね。
この作品、「三兄弟のドタバタ珍道中」でもないし、「兄弟愛の感動物語」でもないし、「インド放浪物語」でもないし、ましてや「経済格差の社会派コメディ」でもありません。
コメディセンスは知的だし、とぼけた間合いはヨーロッパテイスト、演出や選曲は都会的でNYインディペンデント風味、テンポの良さと淀みない進行、これは素敵。とっても良作。
付録の特典映像によりますと、この映画の撮影の為に、職人や絵描きをはじめ、沢山のインド人が仕事に参加しています。
ははあ。どおりで舐めるようにダージリン急行の細部を撮っていたはずです。すんごい美術の仕事っぷりですよ。この映像付録もぜひご覧になってください。
「お前誰やねん」と言いたくなるイケメン男が監督のウェス・アンダーソンですね。こんな人だったんですね。イケメン風貌に似合わず、かなりの拘り派、しかも出演者やスタッフたちから好かれる監督らしいですね。
この映画を見ても、監督の興味の対象がとても広いことを感じます。
これ最近みました!
すごく面白いですよね( ´∀`)
ウェス・アンダーソン監督の作品って服やインテリアが凝ってて好きです
私が好きな作品には必ずといっていいほどオーウェン・ウィルソンが出ます。でもオーウェン・ウィルソンってどこがいいのかちょっとわかりません。
どう思われますか?( ´∀`)
ウェス・アンダーソン監督の作品、これしか観てないので何も判断できませんが、細かいところにこだわる才人らしいですね。イケメンのくせに。
オーソン・ウィルソンもよく知らないのですが、この役に関してだけ言えば、その、どこがいいのかよくわからないところがよかったんではないかと。とぼけていて面白かったです。
ウェス・アンダーソン作品の常連なのですね。あ。「ケーブル・ガイ」にも出てましたか。
このあたりの人たち、あまり観てないのでよく知りませんというのが正直なところでして。