何と言ってもジャック・ニコルソン。はっちゃけ演技でもって彼の実績を浮動のものに押し上げた不朽の名作でして、他には精神病院のあれこれとか、ネイティブ・アメリカンへのあれこれなど見るべきテーマも多重構造で、堂々受賞歴は伊達にあらず大ヒットは一過性のブームに非ず歴史的名作扱いは酔狂でありません。
この映画を観たのがいつの頃だったか忘れましたが、ちょうど精神分析や精神病院やネイティブ・アメリカンの文明や反社会的なものに興味が湧いてしかたがなく日夜忙しすぎる思春期のジャストタイミングな時期でしたから魂に突撃シュートされまくって感動に打ち震えたものです。
我が家の奥様が未見だというので「それはいかん、観なければ」と随分久しぶりの鑑賞となりました。未見の奥様がいると、こういう良い映画を再見できる機会に恵まれるので幸せです。
やはりがつんと来る出来映えです。原作はネイティブ・アメリカンのチーフが主人公で彼の視点から描かれているそうです。未読です。何か悔しい。
今から思えばアメリカン・ニュー・シネマの頃ってのは映画ファンにとって幸せな時期だったんですねえ。昨今のアメリカ映画を嫌う多くの人がアメリカン・ニュー・シネマにぞっこんな人々だったりします。
アメリカン・ニュー・シネマって何?って?
そういわれれば何でしょう。何となく、60〜70年代半ばごろのアメリカ映画で、反体制、アウトロー、行き当たりばったり、無力感、絶望、そんな感じですかね。アメリカン・ニュー・シネマの最後のほうにあるのが「カッコーの巣の上で」や「タクシードライバー」などですよね。多分。
私より年上の方々にとっては「卒業」や「イージーライダー」「俺たちに明日はない」って感じと思います。
しぶいっすね。
2009.02.13
ベトナム戦争がアメリカン・ニュー・シネマを生んだとすれば、今世紀の自称テロ攻撃とイラク侵略戦争もまた名前は付いてないけどムーブメントを生み出したのは確かでしょう。
イラク戦争後の反体制的映画はいろいろと目白押しでアメリカ映画の底力を見せましたからね。「グラン・トリノ」や「ノーカントリー」や「ダウト」なんてまさにその一連の映画ですね。「リダクテッド 真実の価値」「告発のとき」など他にもたくさん作られました。
どちらかというと絶望感よりも不安や無力感や疑心暗鬼や反省や仕舞いにはノスタルジーなんかが見られました。
後の世になれば誰かが名付けをするんでしょうか。どうでしょうか。しないすかね。しないですね。
2010
“カッコーの巣の上で” への1件の返信