アキ・カウリスマキ、現在のところ最新作にあたる「街のあかり」をとうとう観てしまった。我慢してたのに。あぁ、あとは新作を待つばかりか・・・。
「過去のない男」がわりと毛色の変わった作風だったのに対して、「街のあかり」は往年のアキ・カウリスマキ節の復活、というか、セルフパロディじみたところもあって、今回も初対面の女性に「じゃ結婚する?」とか、いつものように瞬間の恋が発生します。しかしいつもと違って今回出会う女性は曲者なんですよね。怪しいです。
刑務所のシーンはもしかして「真夜中の虹」と同じロケ地? なんか同じに見えます。カメラの角度も同じ。マッティ・ペロンパーがいない寂しさを感じました。
脱走しようとしたけど諦めた、みたいなセリフがあります。ちょっとしたファンサービスのセルフパロディですね。
銀行に融資を申し込みに行くシーンもいつか見たシーン。「保証人は俺自身だ」と金を借りに行きますが追い返されます。いい感じですねえ。
本作にも悪者みたいのが登場し、ちょっとしたサスペンスとバイオレンスもあります。すっとぼけた味わいなのは変わりませんが。
無表情で淡々とした間合い、これはアキ・カウリスマキが敬愛する小津安二郎の影響であるのはよく知られていますが、もちろん影響はあってもすでに独自の方法論を確立しています。そして今ではこの独特の間合いに惚れて影響を受ける監督もいたりします。誰とは申しませんが。しかし表面的な猿真似ではいけません。
本作はいつもの人は出演しないのか・・・と思っていますと、ちゃんと出演しておられました。
スーパーのレジ係がカティ・オウティネンさんでした。
私はうっかり気付かなかったんですが、我が家の奥様が気付きました。
「出てる出てる」
こんなことで喜べるなんて、もしかして我々この人の大分ファンではないだろうか。
カティ・オウティネンは1961年生まれ、子役出身で長いキャリアをお持ちです。アキ・カウリスマキ映画には欠かせない存在。
日本では「マッチ工場の少女」が好きな人が多いようですね。あの役もすごかったですね。
ところで、とぼけた犬が出演しているのですが、クレジットによるとこの犬はパユという名前だそうです。
2006年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。
“街のあかり” への2件の返信