映画好きにとっての至福の瞬間とは「何も知らずに観た映画」が面白かったときです。
例えばテレビの深夜映画で偶然見た、知人に勧められただけの理由で見た、とか、そういう映画がとても面白かったときに発動します。
いい意味で「思っていた内容と全然違う映画だった」時もそうです。 冒頭シーンを見て「この映画はサスペンス?ハートフル事件簿かな?」と思って観始めたらどんどん展開して吃驚映画になってしまったときですね。
「ケース39」ってタイトル、これが何とも興味をそそらないタイトルでして、どう見ても二流サスペンスなタイトルです。なぜこれを観ようと思ったかというと、単にサスペンス映画が見たいなと思ったからです。誰が出演しているのかも知らずに見始めました。
こういう見方は往々にして素晴らしい映画体験をもたらせてくれます。
期待度2くらいの軽い気持ちで見始めたものですから、面白さが5だったりしたら面白すぎて大はしゃぎなわけです。期待度10だったらがっかりですもんね。
期待しすぎないこと、内容を知らずに見ることがが如何に楽しいことか、改めて感じ入った次第です。
さてそんなわけでいきなりレニー・ゼルヴィガーが出てきたので驚きました。「うわっ。ブリジット・ジョーンズだ!」まさかサスペンス映画にブリジット・ジョーンズが登場するとは夢にも思わなかったのでこれだけで大喜びです。
「良かったなあブリジットちゃん、仕事があったんだね」とにこやかに鑑賞します。ブリジット・・もといレニー・ゼルヴィガーさんの役は児童相談所の社会福祉士、エミリーです。家庭に問題を抱えた子供のために相談などを行っています。忙しくて、現在38件分も抱えています。
上司がやってきて「もう一件頼むね」と渡された39件目のケースが本作の物語となります。
39件目は両親に育児放棄されているのではないかと疑われている少女リリーのケースです。
リリーは、ちょっと個性的な顔立ちの少女で目元がくりっと可愛くて、黙ってうつむくと悲哀を、にっこり笑顔になると天使のような、オーラを放つ少女です。
なななんと、この少女リリーを演じるのが「ローズ・イン・タイドランド」のあの爆裂少女ジョデル・フェルランドその人であります!
テリー・ギリアム「ローズ・イン・タイドランド」観ましたかみなさん。天才少女現る!ですよね。凄まじかったですね。ダコタちゃんもまっ青な可愛さ演技力存在感でした。
ブリジット・ジョーンズとローズ・イン・タイドランドの夢の共演です。これは何という幸運。こんな映画知らんかった。いつの映画なんだろう。なんと2009年から2010年にかけて公開された真新しい映画ではないか。日本では未公開でDVDスルーとな。当初は2008年に公開予定だったとか。本国でも公開が伸び伸びになっていたんですね。なんでだろ。「売り」が地味だったのかな。
と、そんなわけで39番目のケースです。何やら顔つきの悪い両親と言葉を発しない少女リリーを見て、エミリーは「両親が娘を虐待している」と危機を感じ深く介入しはじめます。
まだ冒頭近くのこのあたりまで見て「はて。これ本当にサスペンスかな」と思い始めました。「もしかして、福祉士のエミリーとリリーの、ちょっと怖いけどハートフル事件簿みたいな映画になっていくのかな」
そういえばエミリーはほら、なんせブリジット・ジョーンズなわけですから、ハートフル方面に展開しても何ら不思議はないのです。
と、思い始めたころにリリーから電話が。「助けて!両親に殺される」
駆けつけるエミリー。
内心、リリーの両親に特別恐怖を感じずに鑑賞していたものだからちょっと意外な展開にびっくりです。
さてまだ冒頭近くですがここから先はみなさん、見てのお楽しみですよ。勿体ないのでこれ以上は何も申しません。
映画全体の出来映えとしては、そうですね、それほどの傑作というわけではありません。もし映画全体の流れを掴んでから鑑賞すると、むしろあまり大した出来ではないかもしれませんね。
でも知らずに見たら中盤までの展開が驚きの連続で大いに楽しませてもらえます。
そしてなんといってもジョデル・フェルランドちゃんの多彩な表情が見応えたっぷり、最後のほうで赤い洋服を着てたりして可愛いったらないの。
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