世界に名だたるメキシコ映画界を代表する監督たち、アルフォンソ・キュアロン、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ギレルモ・デル・トロが設立した映画製作会社 Cha Cha Cha Films の初製作作品。
大物が集まって作った製作会社の鳴り物入りの一本目ですからどれほど気合いが入った大作が出てくるかと思いきや「ルドandクルシ」は田舎の兄弟を描いたコメディタッチのドラマ。スポーツや兄弟や家族や都会や田舎や人々を描きます。大作ではありませんが大傑作認定しときます。
冒頭のバナナ畑のシーンから、家族のシーンから、メキシコ人の暮らしから細かいやりとりから何から何までいい感じ。セリフのひとつひとつ演技のひとつひとつが素晴らしい。この映画大好きとしか言えません。ひとつ残らず全てのシーンが魂の琴線に触れました。「いい感じ」「素晴らしい」「大好き」とは、なんというボキャブラリーのなさ。自分でも呆れる中身のない紹介で大変申し訳ありません。
観てる間中「おれ今日からメキシコ人になるっ」とか意味不明の心の叫びを放ち続けました。
味わいの固まりのようなすっとぼけた兄ベトを演じるのはディエゴ・ルナ、自惚れ屋の弟タトを演じるのはガエル・ガルシア・ベルナルです。
まさか「ミスター・ロンリー」のマイケルがベトとは全く気付きませんでした。もの凄い役者さんもいたものです。
そういえば私が昔から言い続けている左右の話というのがあります。子供のころから右や左がわからない病気で、例えば先生が「黒板の右を見なさい」と言ってもどちらが右かわからないんです。私にとっての右なのか、先生にとっての右なのか、黒板にとっての右なのか教室の壁にとっての右なのか天井か床か校庭か判断できずにあたふたするんです。「右に曲がれ」もそうです。何を基準にした右なのかさっぱりわかりません。道にとっての右ですか?道のどちらが前?と。だから「方向を他人に示すとき、右とか左とか言うな」というのが私の主張です。
この件を私以外の人が大きく主張するのに始めて触れました。それだけで感動です。個人的な事情ですいません。
メキシコの田舎暮らし、家族との食事、奔放な男にしっかりしてそうな女、ビールと唄、サッカーやアコーディオン、メキシカン・ドリーム。
この映画はありとあらゆる全ての人にお勧めです。あなたもきっとメキシコ人になりたくなるはず。
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