交通事故発生当日とその36時間前からの出来事を様々な登場人物を通して群像劇風に描きます。
白人が黒人を射殺した事件を担当する黒人刑事とヒスパニック系のその恋人、差別主義者の白人巡査とその父親と差別主義を嫌う同僚、偽善者的な地方検事と偏見を持つ妻、不良黒人たち、勝ち組黒人、メキシコ人錠前屋、ペルシャ系小売店主とその家族、などなど。寓意に満ちたエピソードが次々に現れ、物語の収束に向かって入り乱れます。
一見、登場人物が多くて話がややこしそうですが全くそんなことはなく、ある意味わかりやすいテーマ性と展開のため感情移入しやすいでしょう。多くの観客の心は右往左往したあげく深い感銘を受けること間違いなし。
印象に強く残るエピソードもあり、登場人物の心の動きや変化を上手く演出しています。
黒人刑事役のドン・チードルは「ホテル・ルワンダ」の副支配人役で一躍大スターに躍り出た優しいインテリ顔の個性的俳優で、今回の役所もいい感じです。
差別主義者の巡査役マット・ディロンはいかにもアメリカ人のナショナリストな顔の怖い奴、でも年老いた父親との絡みも含めて、単純な人間を複雑に演じきります。
ペルシャ系の小売店主の娘役は賢そうなお顔立ちのバハー・スーメクという人で、「クラッシュ」の翌年にはこれまた社会派硬派「シリアナ」に出演、その後なぜか「ソウ3」で医師リンの役を演じて強い印象を残しました(私に)
2008.10.29
タイトル「クラッシュ」ですが、J.G.バラードのテクノロジー三部作のひとつでクローネンバーグが映画化した96年の「クラッシュ」と同じです。
変態映画推進派としましては同じタイトルの後発大ヒット作品に対してアンチな心が芽生え、長らく観ようとも思わなかったのでありますが仕方なしに観てみたら意外と面白いのでこれはこれでまあいいかと。
このブログでデヴィッド・クローネンバーグの「クラッシュ」が登場することはないでしょうからついでに紹介しときますと、<筆者 注・これ以下の文は、予言通りクローネンバーグ版「クラッシュ」のエントリーにコピペしました>
第78回アカデミー賞作品賞受賞。
結局、ふたつの映画について書いてしまったか・・・分けときましょうかね、、
<・・・分けました→クラッシュ(クローネンバーグ)>
2010.09.07
“クラッシュ(ポール・ハギス)” への1件の返信