先進国中、国民健康保険制度がない唯一の国、アメリカ合衆国。マイケル・ムーアはイギリス、フランス、カナダ、キューバなどの医療制度と対比させ、米国の異常を訴えます。
マイケル・ムーアが集めた多数の事例の中から目を覆うばかりの惨状をいくつか具体的に紹介。利益至上主義の亡霊をえぐり出します。泣けます。
実は医療制度の暗部を突き詰めると国家戦略も見えてくるのでして、国ぐるみの貧困ビジネスや軍人養成システムなども絡んできます。これぞアメリカの病理です。
アメリカの統治下にある我が国にとっても「シッコ」の現実は洒落になりません。
日本では一応国民皆保険制度がありますが、アメリカの制度にどんどん近づいています。「高負担低福祉」を目指す政治に正しく危機感を持つためにも、このアメリカの事例、そして他の先進国の事例をきちんと観ておく必要があります。
90年代からずっと、アメリカは日本に対して様々な要求をしてきておりまして、とりわけ保険会社参入を目論む医療改悪は例の傀儡小泉政権以降顕著です。日本の健康保険制度や郵貯簡保などの優れたシステムを破壊してアメリカ型に変更させようという恐ろしい作戦がもうすでに実行中なわけですね。
医療費3割負担など、実害も出てきております。このままではいずれ保険制度は骨抜きにされ外資が乗り込んできて日本人庶民はバタバタと死ぬでしょう。
医療や保険制度の崩壊には注意する必要があります。
規制緩和や自由経済やビジネス障壁などといった怪しい言葉がニュースに登場したら危険信号ですよ。
というわけで、マイケル・ムーア、本作の準備には長い年月をかけたそうで、そうとう気合いが入っています。彼はアメリカの病理を正そうとする愛国者です。
カンヌ国際映画祭で特別別招待上映。
問答無用で現代人必見。
2008.05.08
[追記]DVD発売されました。2枚組のこのDVDお勧めです。Disc 2に収録された特典映像では、追加のインタビュー、上映後の動き、ノルウェーの取材など本編と等しく重要なドキュメンタリーが収録されていて観る価値大あり。
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