昔風の大袈裟な演技でもって殺人が行われるシーンから映画は始まります。最初、ちょっと怖いかなと思ってみていると、だんだん不自然な演技に不信感が芽生え、次に馬鹿馬鹿しくなってきます。あ、これ撮影中の映画か。なかなか予感に満ちた面白い冒頭です。
そして主人公は慣れないモスクワのスタジオで本物の殺人を撮影しているところを目撃。警察を呼んで大騒ぎになるものの死体は発見されず「いやあれは普通の撮影現場だった。怖くて勘違いしたんでしょ。わはは」ということで、うやむやに。本当でしょうか?何を信じればよいのでしょう。
喋ることも悲鳴を上げることも出来ない主人公の恐怖が始まります。
王道スリラーで意外と逸品。手に汗握るドキドキ感と、ほどよいユーモア、ストーリー展開の巧みさも持ち合わせた安心印のサスペンスです。
舞台が映画の撮影所ってところもいいです。撮影所って怖いですからね。
主人公のマリナ・スディナ(Marina Sudina)はキュートなお嬢さんでとてもいい感じ。モスクワに来たアメリカ人の設定ですがどうやら現地の若手女優(だった)らしいですね。なのにこの後の出演情報がない・・・残念。映画の世界は厳しいですねえ。
監督・脚本のアンソニー・ウォラーはこの作品で脚光を浴びたものの、その後はあまりパッとせず。埋もれていった多くの監督の一人になってしまったのでしょうか。いいセンスしてるのに残念です。映画の世界は厳しいですねえ。
ともあれ、本作はかなりのお気に入りなんです。
2008.02.04