ある日舞い込むピンクの手紙。「あなたとわかれて20年、あなたの息子はもうすぐに、19になりますでは御免」とまあそんな内容にびっくりしておじさんの息子およびその母親捜しの旅が始まります。
遊びほうけていたおじさんには思い当たる節が多すぎて誰からの手紙なのかさっぱり分かりません。昔ならいざ知らず、おじさんとしては我が子がどこかにいると聞いてもう気になって気になって居ても立ってもいられません。
そう、これはジム・ジャームッシュがお送りする哀愁おじさんのロードムービーです。
思えば「ストレンジャー・ザン・パラダイス」から何十年、ジム・ジャームッシュもお兄さんと思っていたらもはや大物。アキ・カウリスマキと共通した心地よさのベースがあって、それは日本人にはとても親しみやすい僅かな感情の変化や小さすぎて気付かない妙なギャグ、哀愁とか暖かさとか、紫煙のようなゆらぎと間の美学だったりしますよね。
さて、元遊び人の疲れたオヤジが我が子探して3千里、行く先々で過去と出会い、我が人生を振り返りつつ見せる哀愁、時の経過を噛みしめて、むかしの彼女の誰なのか、花束持って御挨拶、あっちほいほいこっちへほい、なんだか面白いやら不憫やらかっこわるいやら、まったくもって変な映画でした。
元遊び人のこのオヤジがなぜそうまでして血の繋がった倅を求めるのか、その悲哀や気持ちが分かってきたあなたや私はもう立派なおじさんです。
2007.01.19
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