テリー・ギリアム、いよいよキてます。
イマジネーションあふれるテリー・ギリアムらしいし、ならではの映像続出です。
しかし全体の占めるその濃度、狂気、悪夢感たるやかつてないほどの凄まじい威力。
「ブラザーズ・グリム」で大人監督になったかと思いきや、一挙に気違い老人の境地に達したかのようです。
あの来日したときのにこやかな笑顔は何だったのだ。どういうつもりだ。何とか言えコラ、とそんな気分になります。
この映画は歴史に残る文芸作品の大傑作でしょう。
単なるファンタジーを期待した人は取り残され、テリー・ギリアムらしい幻想シーンやギャグを待っていた人はあっけにとられ、人形たちによりどころを求める観客は振り落とされ、ロリコン人間は突き落とされます。登場人物に肉付けをしながら観ている客もぼろぞうきんのように捨てられます。
観客は何一つ掴まりどころのない世界に放り出され、免疫のない人は嘔吐くでしょう。
非常に攻撃的で尚かつ美しい世界。不安でいっぱい。
少女役のジョデル・フェルランドは神懸かり的な演技で、もの凄いの一言。この天才子役のひとり舞台を堪能するだけでも大いに価値があります。
2006.08.04
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