とても綺麗だとの評判を受けて観てみますと、これがほんとに綺麗です。すばらしい表現力です。
ただちょっとCG臭さが強いのと、主人公の青年たちの造形がアイドルみたい。ミッシェル・オスロは「キリクと魔女」の大ヒットで躍り出た人のようですが、技術的には本作が、美術的には「キリクと魔女」のほうが優れているように感じます。
とは言えそんなことは些細な問題、このアニメ映画の美しさを目にした人は心の中にファンタジーのお花畑が咲き乱れるでしょう。
お話は、領主の子アズールとアラブ人乳母の子アスマールのお話。二人は乳母によって愛情込めて育てられますが、アズールの父によって乳母と実子アスマールは追い出されます。
ここらあたりまでの演出や絵は実に見事。惚れ惚れします。
さて、青年になったアズールは乳母の暮らすイスラムへ出向き、そこで乳母とアスマールに再会するのですが、本国とは逆の立場に・・・。てな感じ。
アラブの異国情緒もたっぷりに、アラブ人差別や移民問題に対しての皮肉もたっぷりに童話的寓話的にお話が進みます。
そして愛の国フランスらしいぶっとびエンディングを迎えて、この映画がアート作品であると,改めて自信を持って思うわけですね。
エンドクレジットもまた美しい仕上がりです。
2008.11.18
2010.09.08