さざなみ

結婚45周年の夫婦を描いた「さざなみ」は高齢化時代を見据えた新たな老人映画の地平。ゆれる夫婦の心を容赦なく表現するシャーロット・ランプリングとトム・コートネイの熱演に仰け反る同時代人続出。この世に老人などいない。老人など幻想にすぎない。

フレンチアルプスで起きたこと

絶妙な会話の応酬と映画構成の美学、ニュータイプシニカルファミリードラマ、リューベン・オストルンド監督「フレンチアルプスで起きたこと」の壮絶は奇跡か天才か。

孤独のススメ

印象的なチラシで興味をひいた「孤独のススメ」はオランダの映画。孤独なおじさんが謎の男と出会う一種のハートフル系コメディですが油断しているとちょっと予想外の展開に驚愕したのち心動かされたりします。

ゲルニカ

1937年、ゲルニカの空爆を扱った「ゲルニカ」はマリア・バルベルデをヒロインに据えた一所懸命の大作映画仕立て。本国スペインで2016年9月に公開されたばかりなのに日本で16年11月にリリース。公開はなかったもののこの速さは快挙。それだけで全部許せます。映画の出来?この際不問にします。

グランドフィナーレ

「きっとここが帰る場所」のパオロ・ソレンティーノ監督2015年の「グランドフィナーレ」は「若さ」というタイトルの老人映画。笑いと衝撃、言葉と仕事と体と心、この映画に参加した人全員を尊敬できて見る目も変わるかもしれないレベルの名作。

レッド・インフェルノ

「Vampyres」っていうこの映画、若干のエロスとホラーとスプラッターでできている最近ちょっと稀なとってもチセッツーな映画のひとつ。出来損ないなのに深読みをしてほしそうなストーリーに乗ってあげたくなる衝動に駆られます。よしネタバレ全開超分析にチャレンジだ。

スリーピング・ボイス 〜沈黙の叫び

フランコ独裁政権時代、内乱敗者の家族や恋人である女性たちが収監されたマドリードの刑務所についての告発的映画。「スリーピング・ボイス」は、当時の生き残りたちの取材を元に書かれたドゥルセ・チャコンの小説を原作に制作された歴史に向き合う力作。

アナザー

たっぷり10時間ほどかかる残業を命じられたスタイル抜群の秘書、社長の家で作業に没頭します。この秘書はメガネっ娘でピュアでサイコ、オタクに好まれる漫画のようなオタキャラですが映画自体は正統派フレンチ真っ向フィルム・ノワール、そのタイトルは「眼鏡と銃の車の女」これはイカしてる。でもその前にこの変な日本版のカバーアートをとりあえず無視してください。

世界侵略のススメ

マイケル・ムーア2015年の話題作「世界侵略のススメ」は各国の良い部分を盗んで米国に持ち帰ろうというコンセプトで諸外国の羨ましい良いところをまとめて紹介する“痛快かつ深刻な世界まるごといいとこレポート我が身を省みて絶望と希望の混濁に泣いて笑ってドキュメンタリー”の快作。

マネー・モンスター

生放送中のテレビ番組「マネー・モンスター」に乱入してジャックする一人の若者。番組に乗せられて株買って大損して自暴自棄の犯人は司会者に爆弾を着せ自分の言葉を放送するよう要求します。ジョディ・フォスター監督によるテレビジャックのドキドキサスペンス。

ジミー、野を駆ける伝説

ケン・ローチ監督2014年の「ジミー、野を駆ける伝説」は1930年代アイルランドの実在の人物ジミー・グラルトンを描いた作品です。ジミー・グラルトンとはどんなひとでしょう。こんなひとです。

アスファルト

フランスの団地映画「アスファルト」は団地に住む何組かの男女が紡ぐ日常と非日常のちょっとした物語で、そのちょっとした物語に世界と人類を包み込む宇宙的規模の博愛と懇篤を含ませた奇跡の逸品。

ラザロ・エフェクト

大学の研究チーム、蘇生可能な血清の開発に成功するものの外部に漏れて成果を根こそぎ奪われてしまいます・・・。ジェイソン・ブラム製作によるSFホラースリラーちょっぴりサイコや記憶系覚醒系生死感系ありの楽しいおやつ「ラザロ・エフェクト」はラザロ兆候とは関係ありません。

神様メール

ジャコ・ヴァン・ドルマルの新作映画「神様メール」は神様の娘が6人の使徒を探し出し新たな新約聖書を作ろうとする物語。ちびっ子ファンタジックコメディで垢抜けたジャコの素敵な一品。