ちょっともしかしたら期待しすぎたかもしれません。映画はなるべくフラットな気持ちで見たいもの。勝手に期待しすぎるのはよくありません。
ロベルト・ベニーニはいい顔してるし、舞台となる世界もいい。デザインも画面の美しさもいい。イタリア語もいい。ぜんぜん悪くないです。とても良いのです。異常とも思えるほどの過度の期待を持ちすぎた私がすべて悪いのです。わかっています。
でもちょっとだけ文句言っていいですか。
ロベルト・ベニーニさんの演技がですね、演技だけじゃなく、その、演出ですか、それがですね、全編通して気合いが入りすぎていてですね、ちょっとあの疲れました。力を抜くところがなさすぎるんですね。映画にはですね、緩急というものが必要でしてね、あの、あ、しまったっ。何を偉そうに説教しようとしていたのか。恥ずかしい。自分が恥ずかしい。おれの馬鹿馬鹿バカ。
2006.09.13
ちょっと加筆してみましょうかね。
世の中の想像力のない坊ちゃん嬢ちゃんたちは言いました。「ピノッキオがおっさんだぁ。おっさんのピノッキオなんかやだぁ」
こら糞餓鬼。おっさんであると同時にピノッキオであるという高度にして普遍的なこの分かりやすい文学的試みを理解できぬかー。これはつまり、コンパスであると同時に人間であるとか、イタチであると同時に人間であるとか、ブリキのロボットであると同時に人間だとか、そういう古典的にして革新的なしかも普遍的で美しい藝術的技法なわけですが、そういうのを受け入れるだけの柔軟な想像力はないのでござるか。おーい。
こんなところで引っ掛かるような人は「空気人形」を見ても「人形か人間かどっちやねん。何で空気入れたり出したりすんねんぼけ」とお怒りなのでしょうか。
と、いうことでイタリアのピノッキオは日本の空気人形。うむ。良い対比ですね。
あとそれと、このピノッキオは原作に忠実なようで、その辺を評価している人もいますね。なるほど。
イタリア語講座の題材になっていたのも今では懐かしい思い出。