ロードショーでやっと観れたと思ったらもうDVDが出るそうな。
マーターズ、面白かった。想像していたような変態的でリアルで超残虐な映画ってだけじゃなくて、いたってまともな作品でファンタジックでさえあり、あれ?本当にそうだったかな。まあどうでもいいですか。それにしても登場人物の女の子たちが可哀想で可哀想で(泣)
後半の展開はちょっと今までなかった感じで、そんなの有りかよ、と思うようななかなかの知恵の出しっぷりです。今までの女の子の描き方がもの凄い伏線になってたんだなあと納得して、納得するからまた可哀想で可哀想で(大泣)
ラスト近くの急展開は普通の娯楽映画みたいなセットで、ちょっと恐怖が醒めたわけですが、でもちょっと醒めたので助かったんです。それまでが怖くて可哀想でリアルで大変でしたから、若干、作り物っぽくてほっとしました。あのままリアル路線でやられたら辛すぎてぎゃーです。
「ハイテンション」を皮切りに注目されたフレンチホラー、見応えあります。
近頃の傑作は何といっても「屋敷女」で、いわば究極の残虐、最終形の恐怖です。こんなところまで行ってしまって、その後どうするのだという感じです。さらに残虐を極めるのか、もっとえぐいのを作るのか、そうではありません。怖い映画は、ただ単に怖ければ良いってもんじゃありませんよね。怖くて残虐でリアリズムなだけではなく、それ以前に映画であります。映画として面白くなければ何の意味もありません。
「マーターズ」はリアリズムのフレンチホラーとして「屋敷女」を上回る恐怖を心がけたのではなく、別の切り口、別の展開を目指したと思います。「行くところまで行ってやれ」ではなく「行くところまでいって、それからはまた新しい切り口を」と、展開のおもしろさを引っさげてきました。リアリズムで突き進んだあげくにリアリズムを放棄して神の領域に達しようとする「マーターズ」です。フレンチホラーとして「屋敷女」とは違う意味で傑作だと思います。
2009.11.12
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