円熟期に突入したのか、雇われ監督に徹したのか、テリー・ギリアムの最新作はグリム兄弟大活躍のドタバタ童話。毒気やどんでん返しや実験的なものはなく、普通に丁寧に物語を描いた作品。
一見あまりにも素直な展開にギリアム風味を期待しすぎていると肩透かしを感じるかもしれません。でもだからこその童話なわけですね。丁寧に観るとテリー・ギリアムらしい美術的なセンスを十分に堪能することが出来ます。
各シーンの細部すべてに映画や童話に対する愛情を感じとることすらできます。
ラスト近くの展開は虚構が現実に影響を及ぼす「ジャングルめがね」(筒井康隆)的解決。さらりとしたエンターテイメント作品です。オーソドックスの価値を再発見できる大人の童話。
それにしてもジンジャーブレッドマンのシーンは脳味噌に焼き付きました。イマジネーションの凄みを感じます。
グリム兄弟を演じるのはマット・デイモンとヒース・レジャー。なんか、文学者というよりアクション派の兄ちゃんたちです。
鏡の女王をモニカ・ベルッチが演じていてびっくり。イタリアの宝石もついに怖い魔女のおばはんになってしまいました。
「ブラジル」のジョナサン・プライスも登場しています。
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