みんなのアイドル、演技派美女シャーリーズ・セロンです。シャーリーズ・セロンに外れなし。美女で演技派、みんなのアイドルです。何度も言わなくてよろしい。
監督ジェイソン・ライトマン、脚本ディアブロ・コディ、そして製作や製作総指揮の面々の何人かも「JUNO ジュノ」のチームそのままです。シャーリーズ・セロンを主演に迎えての軽めの女性映画「ヤングアダルト」を作りました。
有名人ではないけれどライターの仕事でまあまあ成功し都会の洒落た生活を満喫する女性メイビスですが、捨て去った故郷田舎町の慎ましやかな幸せをつかんだ元彼のことを思うと何か癪に障ります。あたしはかっこいいの。あたしは素敵なの。でもなんか悔しいの。と、そんな感じです。40歳が近づいて、格好を付けるだけじゃない幸せが欲しくなってきます。そこで、故郷の田舎町に出向くことにするんですね。目的は、赤ちゃんが生まれて幸せ絶頂の高校時代の元彼を奪って自分が幸せになるためです。何のことはない、やっぱり上っ面だけの嘘くさい幸せドラマを勝手に妄想してそれが上手くいくと信じ込んでいるんです。
というわけで、37歳バツイチ自称カッコいい女性の、あたふた奮闘記です。大方の予想通り、この年頃の女性の特徴をコミカルに描きます。いい年こいてキティちゃんのTシャツを来ていたり、かつて流行した何のひねりもない車に乗っていたり、朝起きてWiiでエクササイズしたり、勝負服や勝負化粧が微妙に古くさい流行のままだったり、細かい描写がてんこもりです。これらコミカルな描写を見て無邪気に笑える人もいるでしょうけど、大抵のこの映画のお客さん層(近いお年頃の独身女性)は顔面が引きつるかもしれません。
赤ちゃんが生まれて、慎ましい幸せに満ちている田舎の元彼、その元彼を誘惑して自分に振り向かせることは簡単どころか当然と思っているメイビス。車に乗っている元彼を外から覗き込み、目から誘惑ビームを出しながらしなだれかかりしつこく話しかけるシーンがあります。私は男なのでこのシーンで元彼に感情移入して、シャーリーズ・セロンのあまりの恐ろしさにちびりそうになりました。どなたかも書いていましたが、この映画、コメディどころかサイコホラーの形相すら帯びております。
と、まあそんなこんなで、いろんな人が絡んできて、細かい演出と脚本の妙技を繰り出しながらカッコ悪い女の哀愁を描きます。ジェイソン・ライトマンとディアブロ・コディのコンビは、手堅く面白い映画を撮りました。ただ、個人的に監督の特徴であると思っている飛び出る饒舌については、今回抑えめでした。「JUNO」も「サンキュー・スモーキング」も、饒舌ってのが大きな特徴でしたもんね。「ヤングアダルト」では、面白い会話シーンは健在ですが、炸裂する饒舌の面白さってのはあまりありません。
誘惑されていても全然気にも留めない幸せいっぱいの元彼ですが、この俳優、どこかで見たなーどこで見たかなーと思っていたら、「インシディアス」のお父ちゃんでした。
シャーリーズ・セロンについてはもう何も言うことありません。この人はとてつもない美女にも、強烈モンスターにも、優しい母にも、傷を持つ大人にも、デブにもお化けにもつるつるにもくたびれた肌にも、何にでもなれます。どんな風にもやれます。変身の才能を持った役作りの鬼、女優界のロバート・デ・ニーロです。「ヤングアダルト」の脚本と演出の面白さは、この女優の実力が加わることで上に昇ったパーフェクトな結婚です(おかしな翻訳調)
てなわけで、軽めのドラマ「ヤングアダルト」でした。ちょっと小気味が良くて軽いタッチでプチ哀愁で一部サイコホラー、わりと好きです。
“ヤング≒アダルト” への1件の返信