この映画のゾンビ設定はウィルスです。ウィルスに感染するとゾンビになるという世界で、生きている人がゾンビになったりします。最初「?」と思いましたが、必ずしも「生ける屍」ではないんですね。この映画のゾンビは病気の一種です。
さてそんな設定での6つのお話は生活と密着した日常におけるゾンビとの関わり。まさに「隣のゾンビ」です。なかなか面白い発想です。単に短編が集められただけではなく、6つの話は時系列に進んでおり、ぜんぶ合わせると1本の壮大なストーリーになっております。いや壮大ってのは言い過ぎですが。
4人の監督は多分元気いっぱいの若手であろうと思われます。監督、脚本、そして大抵出演もしています。
このオムニバス映画は、まるで学祭の自主上映、テレビドラマの新人発掘のような様相を帯びています。インディーズ臭さがたまらなく心地よく、頑張れよと応援したくなりますね。
6つの話、詳細は割愛するとして大体こんな感じです。
1話「すきま」 フィギュアオタクの青年の一人悶絶
2話「逃げよう」 カップルのゾンビ掛け合い漫才
3話「骨を削る愛」 儒教の精神はゾンビにも根強い
4話「ワクチンの時代」 バイオレンス仕立て
5話「その後…ごめんなさい」 ゾンビ差別
6話「ペインキラー」 オマケ的短編
日常性とコントと痛み、1話のキモさは韓国映画ならではかもしれません。ギャグなのに痛すぎてたまりません。2話のカップル漫才は最高です。これはかなりいいです。変です。
3話は親を大事にする儒教の精神を感じされる感動の一話。
4話だけ日常性が感じられず、内容はバイオレンス映画ごっこで退屈でした。
5話ではワクチンによって治った元ゾンビの苦悩。ゾンビ差別にまで踏み込みます。いいですね。
6話は本作「隣のゾンビ」自体のメタテイストを含むミュージックビデオ的短編。エピローグというか、オマケですね。作家が書いている文章がざーっと表示されたりする演出がありますが、韓国語が読めないので何が書いてあるかわかりません。
というわけで、若さと勢いが感じられる軽いオムニバスでした。