コミックの映画化ということで、原作者のミラーとロバート・ロドリゲスの共同監督になっています。ロドリゲスの強い意向でフランク・ミラーを共同監督にクレジットしたかったそうで、そのためにアメリカ監督組合を一時脱退したんだとか。しかしながら本編はロバート・ロドリゲス節が全開のぶっ飛びハードボイルドアクションとなっておりまして、私は原作漫画を知りませんがロドリゲスファンの期待に応えまくるこの作品、まあ面白いのなんの。
ロバート・ロドリゲスと言えば大ヒット作「スパイキッズ」を連想する人もいるかもしれませんが、世のロドやんファンはといえばこれはやっぱり世紀の大快作「フロム・ダスク・ティル・ドーン」でありまして、本作「シン・シティ」とそれに続く「プラネット・テラー」はハチャメチャぶっ飛び系ロバート・ロドリゲス・ムービーとして突出した威力を持っております。
とくにクエンティン・タランティーノとのコンビ相性は抜群に良くて、ややもするとロドやんの作品の特徴をタランティーノ作品の特徴と思ってしまう人もいるほどです。もともと少年の頃からビデオ片手に短編映画を撮りまくり、数をこなす中で得た工夫と演出力とB級映画に対する愛と磨かれすぎたセンスはずば抜けておりまして、タランティーノと共通する価値観も大いにあるわけですからまあ遠からずというところかもしれません。
「シン・シティ」でも一部のシーンでタランティーノが監督しています。多分ファンが見たらすぐ気づくでしょう。そうです、車の中であいつがグダグダ話しかけてくるあのシーンです。
さて、この映画は3つの独立した物語で構成されており、ところどころ接点があったりちらりと他の物語の人が出てきたりという、群像劇風な短編集的なそういう作りになってます。それぞれのエピソードは男の復讐物語で、とことんカッコいいです。
極端にスタイリッシュな処理をされた映像ですから、軽薄な映画の印象を持たれている方もいるかもしれませんが全然問題なしです。映像処理なんかより、演出力と役者たちの魅力が上回っているから相乗効果こそあれ、映像負けしているようなことは全くありません。
役者ではミッキー・ローク、イライジャ・ウッドがまず何と言っても注目でしょうね。この二人は意外な印象の役割で登場しており、特にミッキー・ロークなんかは「レスラー」より前ですからこれには驚きました。当時はええええっってなったものです。話題もかっさらいましたよね。
デヴォン・青木のカッコよすぎる役割も超素敵。ブルース・ウィリスはいつものとおり。他にも有名どころの役者さんたちがたっぷり出演されてます。
2009.05.26
続編の噂もずっとありますがどうなったでしょうね。
一時期の流行ものとして忘れ去られるのが非常にもったいない良作。というか大好物。