黒の怨

DARKNESS FALLS
乳歯が抜けたら枕元において寝るんだよ。妖精が夜の間に歯をコインと交換してくれるからね・・・。「歯の妖精」をモチーフに描いたファンタジック・ホラー。
黒の怨

歯の妖精の話なんかわしは知らん。そんなの聞いたこともない。なにそれ。夜中に口笛吹いたら蛇が出るっていうんなら知ってるけど。アメリカではお馴染みのお話らしいですね。ちょっとおもしろい話ですね。で、その歯の妖精トゥース・フェアリーの物語を絡ませつつ、ある小さな町で起こる怨霊事件を描きます。

子供が感じるおとぎ話への恐怖、暗闇への恐怖、そんな誰もが経験してきた気持ちを思い出させる序盤からの展開、割といい感じです。
ただ、この映画は途中から展開が激しくなってきて、ホラー映画というジャンルで括るような映画ではないということに気づきます。前半はホラーテイストで進めますが、ジュヴナイル的なアクション・ファンタジーになっていくんですね。ホラー映画を期待して観るとちょっとがっかりしますのでお知らせしときます。

それとB級映画という括りもちょっと違います。むしろ逆にかなりのメジャー指向です。照明や演出、音楽や編集、演出や展開、色味や特撮の工夫、それらすべて若年層向けの娯楽作品の作り方でして、ちょっとホラー的な毒が効いているファンタジー・アドベンチャー映画と言ったほうがいいでしょう。B級テイストや斬新さや荒っぽさ、あるいはハチャメチャ感やひゃっほー感が好きな人は避けたほうが無難です。

白状しますとまさに私がそうでして、観た直後はかなりがっかりしたんですね。でもそれは私が勝手に違う作風と思い込んでいたからでこの映画に罪はありません。

冷静に思い出せば、一般向けのファンタジー系ホラーとしては決して悪くはありません。いや、ラスト付近のバトルはあれはさすがにちょっと馬鹿馬鹿しすぎますが、まあ、ハムナプトラやレイダースの仲間だと思えば楽しめます。仲間にしてはちょっとレベル落ちますが。いえいえ、その分、色んなシーンにハッとするいい演出がありましたよ。多分。あったはず。メジャー指向と言いましたが、ちょっとだけメジャーからズレている変わった演出も面白いです。そして何より歯の妖精の話は面白かった。前半、かなり楽しめます。普通に。きっと。若年層あるいはファミリー向け。

監督のジョナサン・リースマンのデビュー作品です。この監督は南アフリカ出身。演出の個性的な面はそのせいでしょうか。関係ないかな。
「黒の怨」のあとは「テキサス・チェーンソー ビギニング」そして「実験室KR-13」を監督しました。着実に成長しておられます。がんばれ。もっとがんばれ。

最新作は2011年公開予定の「世界侵略;ロサンゼルス決戦」ですって。だ、大丈夫かこんなタイトルで。 この映画、主演が「サンキュー・スモーキング」のアーロン・エッカートですと。ドキュメンタリータッチで宇宙人との戦争を描くという。ちょっと面白そう。か? 洒落た出来映えの予告編を観たい人はこちら>Battle Los Angeles Official Trailer

2009.05.19

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