権利関係のあれやこれやで40年近くソフト化できなかったんですって。それと海賊版の横行も大きかったらしい。
ダリオ・アルジェントの初期三部作の最後作品。71年テイストが発揮されていてとても雰囲気があります。ドラムの音や古い劇場、画面の構図やなんか。
でも今改めてこれを観る価値があるかどうかと言うと、ダリオファンなら必見、そうじゃない人は・・・特に。
お話はホラーではなくてスリラーです。イタリアのヒッチコックと呼ばれたのも判るストーリーと演出、シーンの切り口です。
超名作「サスペリア2」へと継がれる断片の宝庫です。ロードショー当時、この映画には大きな衝撃を受けたものです。
で、ダリオ・アルジェント、実際のところこんな事言っていいのかどうか、「サスペリア2」「サスペリア」「フェノミナ」以外に名作を撮っているのかというとそれが実に怪しい。「デス・サイト」とか酷いし。
にもかかわらずこのカリスマ性は何事でしょう。それがアーティストということなんです。はい。断言。
「悪魔のいけにえ」だけのトビー・フーパーしかり、ゾンビだけのロメロしかり、ホラー映画の世界は実に興味深いです。
ホラー映画ってのは昔格下でした。最初からキワモノ扱いで名作映画界では見下されたジャンルだったわけです。スリラーやミステリーやSFも元々そうですね。
そのため、スリラーやホラーの世界には、実験的な若い才能が 集まりました。サブ・カルチャーだったわけです。その土壌が、稚拙ながら新しい表現、新しい切り口、新しい感覚に満ちた自由な世界を作り上げました。
マイナーで見下された世界だからこそ、そこに集まるパワーが世界を変えたのだと私は思っております。
インディペンデント作品ってのはそういう歴史的使命をおびているんです。映画だけじゃなく音楽やアートやいろいろな世界で。
例えばインディーズの音楽界、ライブハウスで誰かが面白い変なことを始めて、それがメジャー界で流行するのは10〜15年後ですよね。
おっと、当たり前のことをでかい声で語ってる場合じゃありませんね。
てなわけで与太話は置いといて「4匹の蠅」、リバイバル上映だけでなくDVD化もされ、なんとレンタルもできるようになって、まことありがたい世の中になったものです。