16歳の合衆国

The United States of Leland
戦慄の少年犯罪にまつわる物語。揺れ動く16歳の心。
16歳の合衆国

衝撃的な内容と共に話題となった2002年の作品。
確かに衝撃的な内容です。なななななんてことをっ。と思わず叫び声が出るかも。
しかしこの作品は登場する少年少女たちの苦悩を見つめた一種の青春映画です。はっきり言って事件の衝撃を物語りが上回ることはありません。むしろ底の浅い苦悩が安い青春映画として映画全体を支配します。
苦悩を表現するための事件としては少々荷が重すぎたと言えるでしょう。
つまり作品で描かれる衝撃的な事件と若者の心を描く青春映画の部分が釣り合っていないのです。事件を主にすると軽く描きすぎだし、若者の苦悩を主とすると事件が大きすぎるのです。結果、これだけの衝撃事件に対して描く苦悩がこれっぽっちかよ、とつい思ってしまうという。
苦悩ではなくて不条理を描きたかったのかもしれませんが、そういう演出は取られていないように感じます。とはいえ、この作品は駄目な作品というわけではもちろんありません。それなりに頑張っています。サスペンス的な展開もいいです。
マシュー・ライアン・ホーグ監督は実際にロスの矯正施設で教員をしていたときの経験を元に脚本を書いたそうで、確かに矯正施設でのシーンはリアリティがあり、緊張感も維持出来ています。イメージ主体の底の浅い演出に見えた部分は、思いが強すぎて少々感情的になりすぎた部分なのかもしれません。

少年犯罪と若年ならではの苦悩を、登場人物と同世代の観客であれば十分に堪能できると思います。また、普段娯楽作品だけに接している人々にとっては、どろどろ映画への入門的な一作として機能するかもしれません。
そういう意味では価値ある一本と見ていいでしょう。アメリカの一般向け映画としてこのテーマを選択したこと自体は評価できますし、実際、製作に名を連ねているケヴィン・スペイシーはこのテーマに共感し、映画化実現に向けてたいそう頑張ったらしいです。

2009.04.07

ちょっと臭い演出が鼻につきますが

それはそれで青春っぽくていいのかも

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