フレンチホラーとは何でしょう。フランス製。はい。真面目にホラーを描く。はい。ギャグに逃げずリアルな演出。はい。女性が主人公。はい。
実はよくわかりませんがそんな感じでしょうか。そういう点で本作「フロンティア」はスリラー映画ですがフレンチホラーの範疇で良いかと存じます。
期待に満ちたたいへん良い冒頭です。
大統領選挙に絡んでフランス情勢は不安定、混乱と暴動です。登場人物の若者たちは善良な青年ばかりではなく、混乱に乗じて犯罪なんぞを行う馬鹿たれです。移民家庭の出身で底辺の鬱憤もたまっており、底辺=貧困=愚者=犯罪という常識がここにも当てはまります。
さて彼らは国外脱出を謀る途中に愚かにも強盗を働いて失敗、酷い怪我なので病院組と先発隊二手に分かれ、後に田舎の小さな宿で落ち合うことに。
このあたりまでの描写はなかなか引き込みます。おもしろそっ。と期待に胸を膨らませますね。
しかし、宿に着いてしばらくは維持出来ていた映画的面白さが、ちょっとずつ萎んでいきます。
ホラー的には、残虐行為博覧会になっていくので、そいうのを素直に面白がってもいいんですが、冒頭のドラマが良かっただけに「結局そういう話かよっ」みたいな、あまり捻りのない殺戮ドラマになっていく感じを受けるんですね。
それと馬鹿な若者がほんとに馬鹿で呆れるとか、展開がフレンチホラーにしては稚拙だったりお約束過ぎたりします。
これを良と見るか残念と見るか、それは人それぞれかと存じます。私はちょっと単純な話になりすぎたかな、と残念派ですが、殺戮展開が面白くないわけではなく、ケチを付けるようなレベルではありません。 だからここからが面白いんだよっ、という意見があっても納得はいたします。
さて主人公ヤスミンを演じるカリーナ・テスタという女優さん、ちょっと調べた限りこの「フロンティア」にしか名前が出てきません。
可愛い素敵なお嬢さんですよ。本作の主人公です。
本作後半、このお嬢さんがとてつもなくとんでもない目に遭います。同時に、頑張っちゃいます。「屋敷女」ほど酷い目に遭うわけでもなく「ディセント」ほどマッチョに戦うわけでもありません。その中間くらいかな。
だんだんとこの映画の本性が出てきます。
可愛いお嬢さんをいたぶり尽くします。見ていられないほどです。
可愛いお嬢さんが汚いものにまみれるといえばダリオ先生の「フェノミナ」を思い出しますが、「フェノミナ」のジェニファーちゃんのようにファンタスティックに描くということはありません。
ただのぐちょぐちょのどろどろです。
そして、この映画の本性とは、ヤスミン演じるカリーナ・テスタちゃんのアイドル映画です。
どのあたりがどのようにアイドル映画なのか、それは皆さん、この映画を見れば一目瞭然です。きっと多くの人が「ほんとだ。これはまさにカリーナ・テスタのアイドル映画だっ」とガッテンして頂けるであろう確信を持っております。
アイドル映画はアイドル映画としていいんですが、ちょっとあざとさや厭らしさを感じるところもあります。なぜだろう。
時事的な話題でありますが、iTunes Store の日本語版に、ついに映画販売とレンタルが登場しました。
まだ数えるほどしかタイトルがないお披露目的な登場ですが、いくつかの良作も確認できますね。 この「フロンティア」もありました。
アイドル映画の確認ができますよ。
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