その乱射事件から15年。ダイアナは優しい家族に囲まれ一見幸せな家庭を築いていたが、事件は彼女の心に深い傷を残しており、とても脳天気には暮らせない。彼女の心から流れる血は拭っても拭っても落ちぬ・・・。
ということで、この映画はローラ・カジシュキーの小説「春に葬られた光」を原作とした映画で、「砂と霧の家」のヴァディム・パールマン監督が辛く切ない感動サスペンスとして仕上げました。
銃乱射事件のフラッシュバックがこれでもかと頻繁に登場します。「二人のうちどちらか殺す。どっちだ」
事件当日のフラッシュバックを挟みながら、15年後のダイアナの日常シーンと、乱射事件までの女子高生ダイアナの回想シーンがまぜこぜに登場します。
あまりのフラッシュバックや回想シーンの多さに「ちょっとくどいかな」なんて思いながら見ていたんですが、まあみなさん、すっかり嵌められました。
後半にさしかかるころには、回想シーンのほうがドラマチックで本気度が高いくらいの演出になってきます。
やんちゃ娘ダイアナと優等生モーリーンの友情物語はそれだけ見ていても十分面白い青春映画です。
というか、その部分が良く出来ているからこそのこの映画。
銃口を突きつけられた二人。この後どうなるんでしょう。二人は上手く助かるんでしょうか。
と、そういう部分は放ったらかしで15年後のダイアナを描くわけですから、モーリーンに対して強い哀れみを感じつつ見る羽目になります。劇中でも15年後のダイアナのトラウマは並みじゃありませんから、どうやらこれは最悪モーリーンが撃たれたのでは・・・と想像できるんですね。モーリーン、可哀想に。 と、そんなふうに思えてきます。だからこそ、青春映画パートの二人の女子高生物語にさらに深みを感じるんですね。
丁寧に撮る監督ならではの勝利だと思います。
そしてこの物語には深い感動を呼ぶラストが待ち構えています。
ただしネタバレを喰らっていたら感動半減ですから、もしこの映画を知らなくてはじめて興味を持ったあなたは決して他の情報や公式サイト(まだあるのかな)を見てはなりません。
徐々に不穏な空気に満たされる後半の展開を楽しむためにはネタバレ厳禁でしょう。
15年後のダイアナをユマ・サーマンが、女子高生ダイアナをエヴァン・レイチェル・ウッドが演じます。
あ。エヴァン・レイチェル・ウッドって「レスラー」の娘役の人ですね。
なかなか独創的なお顔立ちのモーリーンを演じるエヴァ・アムリはスーザン・サランドンの娘さんですって。
トラウマを引き摺り何事にも満足できない15年後のダイアナと、モーリーンとの友情をはぐくむやんちゃでぴちぴち女子高生のダイアナ。ふたりのダイアナが己の良心というものを徹底的に見つめます。
ダイアナの下した選択を見て、感動に打ち震えてください。
first appearance 2010.03.06