いのちの食べ方

Unser täglich Brot
食の大規模生産の現場を映し出すドキュメンタリー映画。
いのちの食べ方

農業、畜産業の輸出国では吃驚するような大きな規模で肉や野菜を作っています。その規模のでかさ加減たるやすごいもんです。ただそれを撮影するだけでもビックリ映像の連続。
「いのちの食べ方」は巨大な農地や養鶏場など、食べ物を生産している現場のクールなドキュメンタリーフィルムです。

先進国中最低の自給率を誇る日本人としても、輸出国の食べ物生産現場の映像は見ておかなければなりません。もはや義務です。
ご家族揃って、お子様もご一緒にご覧ください。

このようなドキュメンタリーに期待してしまいがちなことは、残酷な堵殺シーンや杜撰な管理などのショッキング映像かもしれません。
現代のチキン・ジョージ、地獄の光景を目の当たりにするかもとわくわくするかもしれません(←普通の人はわくわくなんかしませんっ)

例えば養鶏場のグロ映像や恐るべき農薬などのショッキング映像は、ネット上で検索すればいろいろ見ることができると思います。大抵はアメリカや日本、あるいは中国の実情を告発する意味を込めて公開されていることでしょう。
私もとんでもない映像をいくつか見たことがあります。あれはアメリカにある日本の会社の養鶏場でしたかね。
羽のない鶏に糞を食べさせたり牛に共食いをさせたりなど常軌を逸した食物生産工場の実情はあれはあれで現代日本人として知っておかねばならぬことです。

で、この映画はドイツ・オーストリア映画ですから、日本・米国・中国のような歪んだ企業による極端なグロ映像はほとんどありません。ヨーロッパはいろいろと厳しいですからね。そのあたりは見ていてもやや安心感があります。
もちろん免疫のない人にとっては十分ショッキングな映像かもしれませんが。

「いのちの食べ方」の生産現場映像は冷静に見ることを目的としているように感じます。センセーショナルに騒ぎ立てる種類の告発系ドキュメンタリーではありません。冷静に、食べ物がどのように作られているのかを知る映画です。

そういえばこの作品にはナレーションがありません。淡々と現場を映し出すのみです。うん。言葉は要りません。
説教臭い言葉が入っていないという点はとても評価できます。映像にのめり込めます。

もうひとつ意外な一面があります。それはとても美しい映画であるという点です。
音楽に乗って巨大農場が映し出されるシーンなど実に見事。鼓動が高まるほどの迫力と美を感じます。
この感じはどこかで感じたことがあるぞ・・・そうそう「コヤニスカッティ」(1984: ゴッドフリー・レジオ)ですね。あれを観たときと似たような興奮状態に陥ります。アート的な映画としても大きな価値があると思います。そっちの意味でもお勧め。

2009.12.05

受賞

アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭 – 特別審査員賞
ビジョン・ドゥ・リール – 特別ジョン・テンプルトン賞
Hot Docsカナダ国際ドキュメンタリー映画祭 – 特別審査員賞
アテネ国際環境映画祭 – 最優秀作品賞
イフラヴァ国際ドキュメンタリー映画祭 – 特別審査員賞
モントリオール国際ドキュメンタリー映画祭 – エコ・カメラ賞
パリ国際環境映画祭 – グランプリ
メキシコシティ国際現代映画祭 – 特別審査員賞
アッシュランド・インディペンデント映画祭 – 最優秀長編ドキュメンタリー賞

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コメント - “いのちの食べ方” への2件の返信

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