監督のマルコ・アメンタはドキュメンタリー監督で、97年にもリタ・アトリアのドキュメンタリーを製作していたそうな。本作は長編デビュー作。
少女時代に尊敬する父親を目の前で殺され、復讐を誓って7年間マフィアの犯罪を記録し続けた日記を証拠に、ついに告発を決意するリタ・アトリア。証人として保護され、判事のバックアップのもと、マフィア一掃の準備が進みます。
実話ベースということで、リタ・アトリアについて予備知識があればどういう展開でどういう顛末を迎えるのか知っていながら観ることになります。
私は詳細を知らず、漠然と「勇気を持ってマフィアを告発した少女」程度の知識で鑑賞したのが功を奏しました。
というのも、監督はフィクションにするにあたって、ちょっとしたミステリー仕立てに作ってるんですね。冒頭の少女時代から、一貫してリタの視線で描きますから、鑑賞者にとっては様々な謎や不信な言動が散りばめられることになります。父親について、兄について、母親について、リタ本人の気性の荒さについてなどです。
後半になってその謎の答えが納得いく形で次々に示されます。物語的にリタ本人がそれに気付く場面でもあり、ここでもリタと観客が同じ体験をすることになります。
追い詰められたリタの心中は誰にも計り知れないものがありますが、単純な心境ではなかったことでしょう。
この映画は正義感に燃えた少女の奮闘記ではなく、復讐を誓った一本気のヤクザ娘の突っ走り映画なのであります。
監督がどこまで意図的に作ったのかはわかりませんが、不思議な魅力に満ちています。丁寧な作りが作品全体の品位を高めているのは言うまでもなく、安っぽい社会正義に収まらない視野の広さが独特です。少女リタの存在そのものの複雑さを飾りっ気や主義主張なしに描いている(ように見える)ところなんかが、問題の底の深さを際立たせているように思えました。
2009年のイタリア映画祭にて上映された本作、広く公開されることなくてもDVDになってこうやって手軽に観ることができるとはありがたい時代になったもんです。
こんばんは。
義務教育では、ヤクザを、暴力団と言います。
俺としては、暴力団は、マフィアです。
コメントありがとうございます。義務教育でヤクザを教えておられるのですか?