[REC]

ビデオ撮影画面そのままのドキュメンタリー風映像で緊迫感を与える主観視点(POV)によるホラー映画。
この作品が他のPOVとちょっとだけ異なるところは、ビデオを撮影しているのがプロカメラマンで、カメラもプロ用機材である点ですね。
これまでの主観撮影映画はアマチュアカメラマンによる撮影という設定が多く、画面のブレや画像の汚さからこの技法による映画を嫌う人も多かったようです。バラゲロ監督はその問題をテレビ撮影というアイデアで克服しました。ドキュメント風ですが素人臭い画面のブレがなく画面が安定していて見やすいです。

そのアイデアは功を奏し本国スペインで大ヒットを記録。世界にも売れ、ハリウッドにリメイク権も販売しました。大成功。

さて物語はバルセロナ郊外、ローカルテレビ局の「はたらくおじさん」的ドキュメンタリー番組「眠らぬ街」の取材です。がんばる女性レポーターはとにかく喋りまくる可愛い我らがアンヘラちゃん（マヌエラ・ベラスコ）。
冒頭近く、消防署を取材するシーンが面白くて一気にのめり込みました。あまりにも楽しいので、ホラーにならなくて良いからこのままテレビレポーターのお話を続けてくれと思ったほどです。何でもないシーンでスペイン人のラテン気質や面白さが見て取れていい感じ。

さてそうも言っておられず、消防署を取材中、緊急通報でアパートへ急行、その後ゾンビ系感染の恐怖の物語が始まるのですが、そうなってからも抜群の脚本と演出で、いわゆる「ゾンビ系でしょ」の一言で済ませるには勿体ない出来映えです。アパートの住民の描き方も独特だし、 恐怖の順序というか、よくある定番進行とはひと味もふた味も違う演出です。

ちょっとした二流ホラー映画かと思いきや、これは非常に価値ある作品でした。面白かった！

2009.02.03

というわけでそれまで全くのノーチェックだったスパニッシュホラー、というかジャウマ・バラゲロ監督ですが、[REC]を観たあと、以前の作品を観てみて、この監督は決してマイナー系の変な作品を撮る人じゃなく、極めて真っ当なメジャー映画を撮ってきた人であることを知りました。実力もキャリアもある有名監督。自分の無知さをまたしても思い知る結果に。

2010.09.14