タイトルの第7大陸というのはもちろん地球上に存在しない7番目の大陸。そこが家族の行き先なのかどうなのか。
淡々と日常を描きますが、日常は「物」に支配されています。暮らしと物。裕福の象徴。家族の絆。自己同一性の砦。
あんなに不愉快なコーヒーメーカーを見たことがありません。あんなに不愉快な洗車マシンは知りません。そして時々映し出される浜辺。あれどこですか、と。
この映画は家族の日常を追い続けます。最後の最後まで追い続けます。鑑賞者の受ける衝撃をものともせず、嘔吐感を気にもせず、ひたすら追い続けます。
初期のハネケ作品に特に顕著な、映像のリズムというものがこのデビュー作でとことん極められています。長回しの不安、暗転での胸騒ぎ、すべて意図されたもので、なんという厭らしい攻撃でしょう。打ちのめされます。
壮絶な映画。
ロカルノ国際映画祭ブロンズレパード受賞
2009.01.31
ミヒャエル・ハネケは1942年ミュンヘン生まれウィーン在住。哲学、心理学、演劇を学び、脚本家として活躍。1970年よりテレビドラマや舞台で演出するようになり、89年、「セブンス・コンチネント」で長編映画デビュー。あまりにもセンセーショナルなこの作品で一躍時の人に。その後はあっというまに「巨匠」の称号を得るまでになりました。
そのわりに日本では紹介されてこなかったわけですが、2001年に「ピアニスト」がグランプリを取ったのをきっかけに、はじめて旧作が一挙上映されることになりました。よかったよかった。今ではDVDも出ていますし、レンタル版もあります。ハネケさんの芸術家ぶりが発揮されまくり(単語を忘れる、言いたいことがありすぎて言葉が後手になりがち等)の貴重なインタビュー映像もオマケで付いています。良い時代になったものです。
でも「ホワイトリボン」はまだ決まらないの?
2010.09.15
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