イギリス人のクリストファー・ノーランは「メメント」で一躍脚光を浴び「インソムニア」を撮った後「バットマンビギンズ」に大抜擢。しかしハリウッドというところは恐ろしいところです。脚光を浴びたからといって「メメント」に「バットマン」を撮らせるとはどんだけ監督を弄んでいるのでしょう。ジュネにエイリアンを撮らせるよりまだ酷い。こういうやり口にまんまと乗ってしまい才能を潰されて国へ帰ってしまう監督も多いと聞きます。
さてクリストファー・ノーランがどのようにバットマンを撮るのだろうと興味津々で拝見したところ、この監督、一般向け大ヒット狙いの娯楽作品を撮るプレッシャーをものともせず、また、従来のファンをがっかりさせることもほとんどなく「バットマン ビギンズ」を見事撮り上げました。
執事とのやりとりやどこか飄々とした登場人物たちの立ち居振る舞いにそこはかとなくロンドンの風格を感じさせます。この大抜擢は大成功でしょう。
主人公演じるクリスチャン・ベイルはやはりイギリス人で、1987年スピルバーグの「太陽の帝国」で高評価を受けた実力派若手ということです。
へえ。「マシニスト」のあの凄い役しか知りませんでした。これは失礼しました。
というわけで本作はマイケル・ケインやゲイリー・オールドマンなどの堂々たる脇にも固められて、140分の娯楽大作として見応えのある一本となり、多くのファンを獲得しました。すごいすごい。
2008.09.03