ゾディアック事件が一世を風靡したのは警察に妙な手紙を送りつけたり、テレビやマスコミを利用したりと、挑発的行為を行いながらの犯行がセンセーショナルだったことがその理由でしょう。こういった子供のようなアピールを行う凶悪犯罪者の仕事ぶりは現代にも脈々と受け継がれており廃れることがないように思えます。
当時の稚拙な犯罪捜査のおかげもあり、迷宮入りの未解決事件として未だに語り継がれるゾディアック事件。
この事件に取り憑かれ、延々と調べ上げる執念の男が主人公。原作者ロバート・グレイスミスその人です。
サンフランシスコの新聞に風刺漫画を書いていた頃に事件に出会って関心を持ち、警察が捜査を辞めても独自調査を続け、ついに1986年に「Zodiac」を出版。うーむ。凄い執念。
この映画は、ゾディアック事件そのものを描く事よりも、その事件に関わった人間たちをとりわけ丁寧に描きます。事件映画というよりもロバート・グレイスミス自伝と言っていいほどですね。
監督はデヴィッド・フィンチャー。この方は当たり外れが大きく、個人的な好みではギャンブル的監督と思っています。
すごい大当たりと、あんまり好きでないな、がほぼ半々にて予想できないんですよね。
2008.6.17
なんかまるであまり好みではなかったかのような感想文に見えましたので弁明するんですが、この「ゾディアック」はぐいぐい引き込まれる良作ですよ。デヴィット・フィンチャーの映画は好きなのとそうでないのがあるという話をして、この映画はわりと好きなほうって書くのを忘れてました。
実際のゾディアック事件が未解決であるので、映画の中でも事件は未解決です。明快な解決を望む方はそのへんだけご注意を。
2010.08.27