これはアニメ作品で、ストーリーは原作とは別物のオリジナル脚本でした。てっきり「時をかける少女」の再映画化と思っていたんですが今風のアレンジバージョンだったんですね。
それにしても「時をかける少女」人気はすごいですね。SF作家として何にでも書かねばならぬ少年少女向けもどんどん書かねばならぬと必死こいていたころの筒井先生の若い頃の作品のひとつです。
ジュヴナイルはたくさんありますが、その中で少し特殊な位置にある小説ですね。まじめというか、律儀というか、そんな作品です。同じような少年少女向けSFでも「ミラーマンの時間」や 「暗いピンクの未来」みたいな、当時でも筒井さんらしい捻くれたものもありますから、数少ないメランコリック系の貴重な作品かもしれません。後の七瀬シリーズのように、方向性を模索していた頃の苦悩の後も感じ取れますね。
さて原作はともかく本作アニメですが、今風だからして、少年少女たちが小さな世界でちまちまとやっている感じで、何やら繊細です。こういうのが若い子の共感を得るわけですね。
絵柄はいわゆるアニメオタク調といいますか少女漫画風と言いますか、そっち系でして、こちらも今風です。
原作の持つ面白さや力の部分はあまり損なわず、その他を時代や客層に合わせて脚色、ヒットさせたのは大したものですね。
そんなわけで今どきの少年少女たち向け。
2008.02.04
追記。筒井さん曰く「銭を稼ぐ少女」ですって。「好きにやっとくれ」って感じですね。