この少女、言葉遣いも丁寧で文化的才能があり、古めかしい洋服を好む少々変わり者。少々変わってるだけならいいんですが、これがだんだんとですね、困ったことになってくるんですが、そのあたりは本編にてお楽しみください。
この少女のキャラクター造形はなかなか見事なんですが、映画全体で観た場合、ちょっと家族の設定に大雑把なところがあったり、物語の収束のさせ方がありきたりだったりして惜しいところも多かったりします。ちょっとしたホラーじみたサスペンスを楽しむ気軽さを忘れずに鑑賞するのがいいでしょう。
ネタバレをしたくない趣旨ですが、この映画についてもうちょっと語ろうと思えばどうしても結果的にネタバレになってしまいそうです。
というのも、この少女の造形について、日本人のホラーファンなら誰もが尊敬し敬愛する偉大な漫画家の先生のある作品をどうしても連想してしまうのでして、それを書いてしまうとこれ即ちネタバレと、こうなるのです。危険です。
そして遺憾ながら、その偉大な漫画家のあの名作と比較してしまうと「エスター」が少々霞んで見えてしまいます。惜しい。実に惜しい。もうちょっとつっこんで描いていればかなりの名作になっていたのは間違いない。
と、まあ製作者が(多分)知りもしない名作漫画と比較しても仕方がないので、この映画の見どころなどをいくつか。
まずやはり何と言ってもエスター役のイザベル・ファーマンさんが凄いです。あの顔。あの演技。どこで見つけてきたのか、役にぴったりの少女ですね。これは2009年の変態キャラクター大賞を与えたいですね。
それから二人の子供たちが ドキドキして不憫で可哀想です。このあたりは丁寧に描いていますね。
返す返すもラストを娯楽活劇化?したのが残念。DVDで拝見すると「別エンディング」なるものも収録されていてこちらは活劇バトルシーンを入れず、静かに終わります。この映画的には別エンディングのほうが映画のトーンに似合っているのは間違いないですね。
製作陣が「どのように終わらせるか」についてかなり悩んでいたことが伺えます。別エンディングもまあ地味といえば地味だし、製作会社からの指令でもあったのかどうなのか、娯楽活劇にするしかなかったのかなあ。それにしてもなあ。そぐわないよなあ。惜しいなあ。惜しい。
2010.4.15
後になって監督ジャウマ・コレット=セラのデビュー作「蝋人形の館」見たのですが、この監督の才能を改めて確認できました。
やはりラストシーンのアクションバトルは製作側の意向であると判断できると思います。「別エンディング」を収録するとき、多くの場合監督の「ほんとはこっちがしたかったんだよー」っていう心の叫びが聞こえてくるんではないでしょうか。
2010.12
どの漫画のことを言ってるのか判ったよ、って人は友達
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