パンズ・ラビリンス

El laberinto del fauno
スペイン内戦。妊娠中の母親と共に、母親の再婚相手、森の砦に住む残忍な大尉の元へ。少女オフェリアの現実逃避は妖精に導かれて入る森の迷宮・・
パンズ・ラビリンス

日本では2007年に公開されたギレルモ・デル・トロの本気作。「デビルズ・バックボーン」で見られたスペイン内戦に関する部分を発展させたかのような作品かも。

スペイン内戦の暗い影、不安でいっぱいの少女が砦の先で出会う妖精は「あなたこそ地底の王国の姫君」と語り、王女になるための三つの試練を課す。と、ここまで見れば「なんだ、普通のゲームっぽいファンタジーか」と思うかもしれませんがとんでもない。

最初の衝撃は母親の再婚相手である大尉が行う暴力の壮絶さを見るあたりで訪れます。普通のファンタジーと思って見ていたら、いきなりのホラー映画的残虐シーンに度肝を抜かれ、この映画がただ者ではないことがわかります。

そして少女が出会うファンタジー王国のお話と平行に描かれる戦争の現実。その辛さったら。全く歓迎されずにいる孤独、不安感からの少女の行動がさらに事態を悪い方向に持っていったりします。映像も美しいし怖いし、物語の描き方が丁寧かつ緻密。かなりの辛さを感じる映画ですよこれは。

可哀想で不憫なお嬢さんを演じたのはイヴァナ・バケロという女優さん。もうこの映画を観た人は全員お嬢ちゃんの見方です。一生応援しますというレベルです。
やさしい姉御を演じたマリベル・ヴェルドゥという女優さんにもうっとりでした。

森の奥にある独裁政権軍の砦で少女が目にするスペイン内戦の顛末を、妥協のない描写で描く本気度満点の暗いファンタジー。
これは食わず嫌いしてる場合ではありません。かなりの名作ですね。

2006年アカデミー賞 撮影賞,美術賞,メイクアップ賞受賞
2006年カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式参加作品
2006年 全米映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞
その他、英国アカデミー賞、ゴヤ賞、ヒューゴー賞など67の賞を受賞、58のノミネート。

2010.3.6

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