続けざまに公開されて喜んでますが、でもそれは勘違い。「グリーン・インフェルノ」は2013年、「ノック・ノック」は2015年の映画で、たまたま続けざまに日本公開されたに過ぎません。でも日本公開こそ我らの基準になるので立て続けに公開されたという認識でも合ってます。
そんな話はどうでもいいんで、最も重要なのはアナ・デ・アルマスです。「サイレント・ウェイ」「カリブの白い薔薇」のあのお人形のようなアイドル、キューバ生まれスペイン映画育ちのアナ・デ・アルマスです。なんと近頃はキアヌ・リーヴスを手中に収め自在に操り「ノック・ノック」の他「エクスポーズ」でも共演していて、つまりスペイン映画のアイドルからハリウッドのでかい世界へと華麗なる転身を遂げたやり手ねーちゃんアナ・デ・アルマスであります。相変わらずの美女っぷりでキアヌ・リーヴスをいたぶり尽くしますね。この映画を見ずして何を見るんだというアナファン必見作品でもあります。
何とアナ・デ・アルマスは「ブレード・ランナー」の続編にも出演が決定しているそうですよ。どうですか皆さん。これが野心と根性です。
もうひとりいます。「アフターショック」でキュートさを振りまき「グリーン・インフェルノ」でオーラを放ちまくってイーライ・ロスと結婚してしまったロレンツァ・イッツォですね。いいですねロレンツァ・イッツォ。イーライ・ロスでなくても惚れまくりラテン女優です。アナと組んでキアヌ・リーヴスをいたぶり尽くします。
そんなわけでこの二人の素敵女優がキアヌ・リーヴスをいたぶり尽くす映画ですが、このいたぶりが実にいいんです。
どんなふうにいたぶり尽くすのかというと、最初は誘惑して誘惑に乗ったあとは後ろめたさにつけ込んで悪さしまくり恐怖に陥れ恥をかかすというそんな感じです。美術作品をぶちこわすところとか最高ですね。
観る前は「怖い映画かなー。女ファニーゲームみたいだったらどうしよう」とドキドキしていたんですが実際はどうかというとファニーゲームとはまったく違って、かなり楽しめる一本でした。オチの付け方もよくて、怖いのは怖いけど読後感は極めてさわやか。「一本取られましたなあ。わっはっは」みたいな終わり方にもじもじしながら虚笑が飛び出るハイセンスな映画でした。
「ノック・ノック」は1977年の「メイク・アップ」を基にした映画なんですって。強くリメイクであるとは打ち出していないようなので、オリジナルな部分も多くあるのでしょう。
「メイク・アップ」の監督ピーター・トレイナーと製作ラリー・スピーゲルが製作総指揮に名を連ねています。
ついでにいうとキアヌ・リーヴスも製作総指揮にクレジットされていますね。やる気満々で「ノック・ノック」を作り出しました。ついうっかりが元でとんでもない目に遭わされる主人公をノリノリで演じきりましたね。
「ノック・ノック」の見どころはそんなキアヌ・リーヴスも含め、ロレンツァにアナの二人の最強女優、過去作品に敬意を表しつつ新婚の嫁さんにぶっ飛びの悪女をやらせたイーライ・ロス、そしてそんなみんながノリノリで楽しそうに作ったことが画面からも滲み出てくるというあたりでしょうか。
もうひとつ特筆するところはキアヌ・リーヴスの恥ずかしい男っぷりです。この年頃のこの真面目ないいやつのおっさんとしてのかっこ悪さというところが大いに強調されます。
むかしやってたという自慢のDJ、若い娘に自慢する機材のコレクションに好きだった曲、これらのネタはある世代にとっての恥ずかしさ攻撃の極みですよ。主人公と同じような年頃の同じようなタイプの適度なおっさんにとって、この映画は恥ずかしさだけで出来ていると言っても過言じゃありません。ただでさえ恥ずかしいのにその恥ずかしい傷口を広げられ塩を塗られるかのごとき美女の苛めにある種のおっさんは羞恥死寸前、ゴリラは縮み上がり自分が生きてることすら辛くなること請け合い!