その前にひとつ気になることがあるんで枕として書きますけど、カバーアートのことです。映画のポスターってこういうデザイン多いんですけど、大抵顔写真と名前の表記が合っていません。これね、昔から何か気になるんですよ。ジェシー・アイゼンバーグがペネロペ・クルスって書いてあるみたいでしょ?これなんかも好例です。無関係の映画なので敢えて「これ」で済ましてますけど。こういうの見ては笑ってるんですが、皆さん気になりませんか?
枕その2です。この映画感想ブログは「直近に見た映画の感想や紹介」ということにしていましたが、2014年からこっち、全然更新できていなかったツケが溜まりまくっていまして、下書き欄のタイトルだけが埋め尽くされている状態です。何かのきっかけでこうして以前に観た映画を引っ張り出してメモを書いたりします。
今回は唐突に「ローマでアモーレ」です。
ウディ・アレン監督2012年の作品です。ロンドン、パリ、バルセロナとヨーロッパ各地で映画を作っておられますが本作はイタリア、ローマが舞台です。
「オールスターヨーロッパ旅情シリーズ」と出鱈目書きましたがそんなシリーズはありませんので真に受けないようお願いします。
さて唐突に「ローマでアモーレ」を引っ張り出したのには訳があります。比較的最近の「アリスのままで」という映画があったのですが、それに出演しているアレッック・ボールドウィン絡みです。アレッック・ボールドウィンはたっくさんの映画に出まくっている有名俳優ですが個人的に「ローマでアモーレ」での役が最高だったので、アリスの前にこれ書いとかないとな、と思ったという、きわめて個人的な事情です。
豪華出演陣の顔ぶれを見て公開前からわくわくしていました。エレン・ペイジ、ペネロペ・クルス、ジェシー・アイゼンバーグ、そんでもってロベルト・ベニーニと、まあ豪華。まあ私好み。オールスターが集結する映画ってのには基本不信感を持っていますがウディ・アレンなら安心です。・・・私は昔ウディ・アレンが苦手だったのですが今では「ウディ・アレンなら安心です」と来たもんだ。人は変わりますね。
ローマで同時進行する4つのお話が平行して描かれます。それぞれのお話は次のような感じ。
息子・娘の結婚を機会に出会う葬儀屋(ファビオ・アルミリアート)と落ち目のオペラ監督(ウディ・アレン)のお話。葬儀屋がシャワーを浴びながらご機嫌に歌うオペラを聴いて「これはいける!」となります。ファビオ・アルミリアートは高名なテノール歌手で、何とも奇妙な役で大活躍。
恋人の親友(エレン・ペイジ)が訪ねてきて、最初は恋人の友達として面倒見ますが、どんどん彼女の虜になってゆく青年(ジェシー・アイゼンバーグ)のお話。エレン・ペイジとジェシー・アイゼンバーグの見事な掛け合い。
田舎からローマにやってきた新婚夫婦のお話。上流階級の親戚が集まるために気を遣い緊張しまくる状態ですが妻が髪を直しに出かけた隙に間違って娼婦(ペネロペ・クルス)がホテルの部屋にやってきて、そのタイミングで親戚もやってきて、行きがかり上、娼婦が妻ということに。一方妻は街で大ファンの俳優と出会って食事に誘われわくわくついて行きます。
ローマで家族と暮らす平凡な男(ロベルト・ベニーニ)が、ある日突然有名人になります。メディアに注目され、美女にモテモテ、最初は戸惑いますがやがてセレブとしての暮らしを気に入りはじめます。
まあどれもいい感じです。どのお話が特に好きとか、言えないほど全部それぞれいいです。
特にジェシー・アイゼンバーグとエレン・ペイジのロマンス噺、これはいいですね。ふたりの対話、饒舌コミュニケーションは見事です。そして何と言っても、この中に登場するアレック・ボールドウィンの面白さったら異常事態ですね。この有名俳優、これまでにもいろいろ見ていたはずなんですが「ローマでアモーレ」の強烈な役で一気に特別な存在となりました。
田舎の新婚夫婦の物語も大層面白かったです。ペネロペ・クルスの魅力炸裂、これはいいです。田舎者の夫婦もたいへん良い味を出してます。
ジュリアーノ・ジェンマによく似た人が出てるなあと思っていたら、なんとジュリアーノ・ジェンマでした。
マカロニ・ウェスタンのトップスター、「夕日の用心棒」「荒野の1ドル銀貨」など、西部劇が好きだった子供の頃の憧れのスターです。「ローマでアモーレ」のあと、交通事故で亡くなってしまったとのことで、これが遺作となりました。
一つちょっとだけ気になったのはロベルト・ベニーニのお話です。これ筒井康隆「おれに関する噂」そのままですね。筒井さん、「インセプション」の時はコメントしたけど「ローマでアモーレ」はご覧になったんでしょうか。
[追記]
と、書いたのですが「ウディ・アレンならまあいいか」と温厚な感想をかいておられましたね。偽文士日碌 二〇一四年 四月十四日
思い出しましたが「ミッドナイト・イン・パリ」もそっくりですよ。ご覧になったんでしょうか。
一作だけならともかく、2作も続けてそっくりというのは、これはどうも偶然で済ましていいのかという気がしますね。偶然などないというユング派の言葉とは違う意味で、偶然などないとちょっと改めて思いましたがどうでしょう。
筒井さんも昔のコメディ映画が好きで、ウディ・アレンはその流れを組む監督ですから、ある程度は似た発想が出てきてもおかしくはない部分もあるかもしれません。でもどうですかね。
筒井さん本人が「許すとしよう」と言ってるので、ここはぐだぐだ言わず許されたのだな、と了解しておくことにしましょう。
[追記終わり]