アメコミにまったく詳しくないので墓穴掘るようなことも書けませんが、スパイダーマンのパート2と言えば秘密兵器を作る会社の社長さんとその息子の哀しいお話みたいなパートっていうのが決まってるんでしょうか。サム・ライミ版の時もそうでした。今回もそうでした。
さて全く期待していないどころか映画会社の魂胆に憤りすら感じながら観た「アメイジング・スパイダーマン」が予想に反してとっても面白かったのでパート2を待ちわびていたんですね。特に映画部の奥様に至ってはどうやら表面に表れている以上に楽しみにしていたらしく、相当にわくわくしていた模様です。で、大いに期待を寄せながらこのパート2を観ることとなりました。
スパイダーマンに限らずバットマンとかXマンとかもそうですが(Xメンだったっけかな。観に行ったけど)、大体は最初のパート1が面白いです。登場人物が誰が誰なのか判らない状態から始まり、ヒーローになるきっかけ、力にはしゃぐ様、自信と挫折、活躍、葛藤と、ストーリー的にとても盛り沢山だからです。そして忙しい展開にもなり、高密度です。パート1の面白さは格別です。ヒーローものに限らず、ロード・オブ・ザ・リングやホビットやスターウォーズだってそうです。高密度の1の面白さはやっぱり格別ですね。
その続きのパート2は大抵地味です。いえ、内容的にはよりパワーアップしてど派手になるわけですが、脚本的にはパート3へ続くための地味な作業となりがちです。全編通してみたときに振り返るとエピソードの一つに過ぎないような、そんな印象もありますね。例えばパート3があったとして、大抵のパート3はパート2の続きとは言え、多くの場合パート1への言及が多くを占めることになります。2の存在意味はどこいったんだ、みたいな、そんな風に感じることもままあります。
ごちゃごちゃ言ってますが要するにパート2はパート1ほどには面白くなくて当然という話です。ですからこの「アメイジング・スパイダーマン 2」が例えパート1より面白くなくても、それは大きな問題ではありません。
ですので期待過剰に陥ることなく、私はまあまあ楽しみました。
今回は主人公の河野太郎アンドリュー・ガーフィールドの人間的な面白さがほとんどありません。恋人エマ・ストーンとのだるい恋愛話とおばさんとのありきたりなやりとりなど、人間ドラマ的に一本調子でややうんざりします。ですがあとのほうでヒーローもの映画としてあるまじきすんごいシーンが待ち受けていまして、これにはさすがに椅子から飛び上がって驚きました。これを盛り上げるためにダルい恋愛話をしつこく描いていたんでしょうか。その演出にはうんざりしますが、でも衝撃シーンは勇気あるシナリオでした。シナリオが勇気あっても私はショックを受けました。素直です。つらいです。うわーん。
社長の息子の悲哀もいい感じでした。これはサム・ライミ版より良かったです。ここも素直に褒めます。
問題は電気のお化けエレクトロです。
最初はすんごく良かったんですよ。誰にも相手にされない哀しい技術者です。スパイダーマンに出会って大はしゃぎ、とてもよいキャラクターでした。主人公がうじうじつまらないドラマを繰り広げている傍ら、こちら技術者マックス(て名前だっけ?)の存在は素晴らしいものがありました。
ただしお化けになってからはかなりテンションさがりまして、非常に単純なお化けとして活躍します。しかもちょっとお化けとしてやりすぎというか、CGとしてやりすぎというか、電気になってテレポーテーションとかし出すもんだからもう完全にこちらは醒めてしまい「あ、そう」状態です。まるで昔のスーパーマンが地球をぐるぐる回って時間を戻したみたいな、そんなドラ衣紋的何でもありの化け物に少々やり過ぎ感を感じました。が、感じない人もいるとおもいますのでそのあたりは人それぞれって事で。
こうしてたらたら文句書いてると、自由な想像力の子供のおもちゃを大人目線で分析しているようでやや自己嫌悪に陥りますが、子供だって馬鹿馬鹿しいのを好む子と好まない子がいるんだから別にいいかと思いまして、でもね、そうは言いながら私はまあまあ楽しんで観てたんですよ。いやほんと。いや、まあまあかよ。
問題は期待が大きすぎた映画部の奥様のほうです。「何やこれ。何やこれ。楽しみにしてたのにー」とえらい剣幕です。何事も期待過剰はいけませんね。実質面白値=期待値-面白値ですからね。
いずれにしてもパート1の壮絶面白さにくらべたらやや残念なパート2だったのは確かです。
ところであんなことになってしまったんで、もうパート3はいらないんじゃないかと思うんですがパート3も作るんでしょうか。どうなんでしょうか。もし作ったらもちろん観ます。
3は観ません
はっ。匿名のあなたはっ。