直球勝負の判りやすい展開、最後はほんわかまろやかな作りにて収束させる、アメリカ批判の毒気やメッセージ性を期待していた向きにはやや物足りなさが残るかもしれない巨匠ヴェンダースのロードムービー的小品。
とにかくミシェル・ウィリアムズ演じる主人公の女の子が天使のようです。素晴らしい配役。あんな表情がよく出来るものです。
内容はストレートで判りやすく、いやむしろ判りやすすぎて、なぜにここまで親切なのか不審に思うほどです。でも考えてみれば、件の破綻国家の国の人にとっては十分なインパクトがあるのかもしれないし、こういうまろやかさを最後に持ってこないと、件の破綻国家の国の人にとんでもない思想映画と見なされてしまう危険もあるのだろうと想像できます。
故に、この親切な展開はアメリカ人に向けてはこれはこれで良い落としどころなのだろうと思います。
この映画は脚本から撮影まで、とても短い時間で作り上げたのだとか。その勢いも伝わります。主人公の二人も、脇を固める何人かの演技、笑顔や困った顔など、印象に残る良い仕事をされています。
2006.08.20